fjconsultants Blog:4,704投稿目 fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆

日銀ETF購入激減

日経新聞のベタ記事をいくつか取り上げます。
大きく取り上げられないからこそ意味がある内容のときがあります。

最初は日本銀行のETF(上場投資信託)購入が94%の減少になったこと。

日銀、ETF購入94%減:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77947870X21C21A1EA4000/

↑2021年4月から9月の6ヶ月間のデータ比較です。
6ヶ月間でETF(上場投資信託)購入額は2102億円。
これが94%減少した数値。
前年の2020年4月から9月の6ヶ月間のETF(上場投資信託)購入は3.5兆円程度。
購入額が3.3兆円減少したのです。

日本銀行のETF購入(上場投資信託)は株価が不安定なときに大規模に買い入れをしてきました。
今年2021年4月から9月は安定していたので一気に購入額を減らしたのです。

現在日本銀行が保有しているETF(上場投資信託)は、36.2兆円(簿価)。
含み益は 16.6兆円となっています。
保有時価では52兆円を超えています。
この規模は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の保有じかと同等、もしくは超えています。

日銀が間接的に保有している株のシェアが
・20%超の企業:4社
・10%台の企業:71社
https://diamond.jp/articles/-/267714
となっており、間接的大株主であることがわかります。

そのため、現在は含み益があるので良いのですが、いつのタイミングで株を売却するのかが注目されています。
これだけの大株主のポジションで売却をすれば株式市場に大きな影響が出るからです。

出口戦略がない、と指摘されている理由もそこにあります。
株価が下がれば売却のタイミンングを見失い、保有し続けるかもしれません。
いずれにしてもリスクを抱えていると考えていいでしょう。
日銀のETF保有動向は今後も注目です。
目が離せません。

高原

国債残高1000兆円突破へ

もうひとつのベタ記事は、国債残高1000兆円突破へ、という内容です。

国債残高1000兆円突破へ:日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77947690X21C21A1EA4000/

↑国債を2021年度補正予算財源として22兆円追加発行。
そうすると2021年度末に国債の残高が1000兆円を突破する。
GDP(国内総生産)の2.5倍の額に相当します。

2020年度の国債発行額は112兆円。
2021年度の国債発行学は65兆円。
ちなみによく比較されるリーマンショック時2009年度は52兆円。
その規模を2年連続で超えています。

この国債残高は国の借金と表現されています。
しかし、バランスシートの概念で考えれば、資産と差し引きして考える視点も存在しています。
国の資産と国債残高を差し引きすると実質的には半分の500兆円まで下がります。
GDPの1.2倍程度の規模になります。
この概念で判断すれば適正レベルに落ち着きます。
ただ、資産が売却できるのが前提です。
条件付きの判断となります。

まとめ

世界各国で2020年から国債の発行額は急増しています。
相対的に紙幣の価値は下がっています。
しかし、インフレーションはまだ発生していません。
その影響は時差で発生してくるのでしょう。
それがいつになるかはわかりませんが、対策だけは考えておきたいところです。
原則は依存度を下げること。
紙幣だけに頼らないことです。