ニーズを伝えられない
「顧客は自分のニーズを伝えることができない」
本当にそう思います。真のニーズは言葉にできなかったり、ニーズに気がついていなかったりするからです。新しい商品を見たときに「こんな商品がほしかった」と言いますが、商品が形になっていないときは判断できないのです。たとえばスマートフォンが世に出ていないときに「ボタンがひとつしかない携帯電話を使いたいと思いますか?ほしいですか?」とアンケート調査を取ったならば「使いにくい商品だと思う」と答えるにちがいません。使いやすさや便利さは想像がつかないのです。
それがスマートフォンが出てから便利さに気がつき、手離すことのできない商品だと気がつくのです。そうなるとスマートフォン以前の携帯電話は消滅。これほどまでにシェアが入れ替わるのを携帯電話メーカーでも気が付かなかった事実があるのです。
ガラケーのメーカーはユーザーヒアリングを行なっていたはずです。「どのような機能がほしいですか」とアンケートを集めながら機能を追加していきました。しかし、真のニーズはアンケートには出てこなかったのです。
三輪に乗りたいか
冒頭の言葉は、スティーブ・ジョブス氏の言葉と言われています。では、日本でも同じようなことは発生しているでしょうか。事例をあげるならばヤマハ発動機のバイクがそれに当てはまります。
前輪が2輪になっている3輪バイクです。この商品が出る前にライダーに「3輪のバイクに乗りたいですか」とアンケートを取っても「乗りたい」と答える人は少ないでしょう。乗り心地や操縦性が想像できないからです。しかも3輪の方がカッコわるいようなイメージさえ出てきます。「3輪バイクをつくってほしい」という要望があったとは思えません。特に前輪を2輪にする発想は出てこないはずです。
しかし、実際に商品になり世の中に出てくると「これもいいかな」と思えてくるから不思議です。ニーズがもともと潜在的にあったのか、後からニーズが追加されたのかは判定できませんが、受け入れられる一面もあるのです。
まとめ
このように真のニーズは顧客の口から聞くことはできないのかもしれません。予想しながら、世の中にリリースしながら真のニーズと適合させるしかありません。上記のヤマハ発動機はイノベーション企業だと思っていますが、宣伝が地味なためイノベーション企業というイメージを持たれていません。勿体無い気がします。
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ビジネスリーダーのためのWeb Magazine ファースト・ジャッジ:4,829投稿目 fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆