毎年30社前後が公表

上場会社の中で「会計不正の発覚の事実を公表」したのは2022年3月期で31社でした。毎年30社前後が会計不正の事実を公表しています。減少の兆候は見られません。

経営研究調査会研究資料第9号「上場会社等における会計不正の動向(2022年版)」の公表について:日本公認会計士協会(経営研究調査会)

https://jicpa.or.jp/specialized_field/20220627jga.html

手口の種類

2018年から2022年の集計の内訳が出ています。5年間で不正を公表した上場会社は164社。会計不正の件数は311件。1社あたり2件の会計不正が発生していることになります。

不正の手口は大きく2種類。311件のうち59件が資産の流用。残り252件が粉飾決算となっています。19%が資産流用、81%が粉飾決算なので2:8の割合となっています。

粉飾決算の中でよく用いられる手法は収益関連の会計不正。粉飾決算の40〜50%が収益関連です。具体的には、売上の過大計上、循環取引、工事進行基準の合計です。

なぜ発生するのか

こうした不正はなぜ発生するのでしょうか。様々なパターンはありますが、共通なのは最初は小さな金額からスタートしていることです。苦しい状況のおかれ、苦し紛れに行ってしまう。

最初は小さな金額をごまかす。次の機会に取り返すつもりで手を染めます。しかし、挽回するつもりの次の機会はやってこない。さらにごまかす必要があるのです。それが1年間、2年間と続き、戻れなくなってしまう。その段階で発覚する。そんな感じです。

現場で発生している

会計は結果ですが、不正は現場で発生しています。架空の売上、自作自演の売上というのは何度も聞いています。業界によっては、ニュースに出ることもありますがあまり目にすることがありません。表に出てこない話です。

まとめ

プレッシャーから不正に手を染めるのだと思いますが、複数人が関係する場合は、もともと責任の所在が不明瞭なのも原因です。連帯責任だと、責任意識が分散し、小さなことなら許容してもいいのではないか、と判断してしまうからです。発生させないためには、不透明をなくす、透明性の文化しかありません。あと、社内監査という概念も持っておくべきでしょう。社内を疑うわけではありませんが、抑止力として機能させるのは有効だと考えています。

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ビジネスリーダーのためのWeb Magazine ファースト・ジャッジ:4,917投稿目 fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆