価格転嫁について
シビアな状況になっています。インフレ→コストアップがどの企業にも影響を与えていますが、協力関係にある企業に対して価格転嫁の協議をせず、「優先的地位の濫用」を行った13社の社名が公正取引委員会より公表されました。
(令和4年12月27日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果について→13社の社名公開
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/dec/221227_kinkyuchosakekka_2.html
公開された社名一覧には、下記のような注意書きがあります。独占禁止法、下請法に違反しているわけではない、とのこと。調査後に協議を行なっているケースもあるので、今回の公開は注意をうながすために公表したと思われます。
※ 調査対象期間は、令和3年9月1日から令和4年8月31日まで。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/dec/221227_kinkyuchosakekka_2.html
※ 独占禁止法Q&Aに該当する行為を行っていたか否かを調査したものであり、この公表が独占禁止法又は下請法に違反すること又はそのおそれを認定したものではない。
※ 発注者の中には、今回の調査期間中に、一部の受注者との間では価格転嫁を進めていた事例や、今回の緊急調査の実施等を受けて、調査対象期間後において、受注者との間で価格転嫁を行うための協議の場を設けた事例又は今後設けることとする旨の方針を明らかにしている事例、取引の相手方に対して適正な取引体制の構築、援助等を行っている事例等も確認された。
調査結果スライド
独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果については下記スライド資料が見やすいです。
(印刷用)(令和4年12月27日)独占禁止法上の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査の結果(別添)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/dec/221227_kinkyuchosakekka_betten.pdf
取り引き価格の据え置きなどで名前があがった社数は4,500社。調査3.1万社のうち14%です。7社に1社の割合で名前があがっています。特に名前があがる数が多い50社は詳細な個別調査をしたようです。結果、13社の社名が公開された形になります。
今回の調査で問題とされたのは下記の領域です↓
- 価格交渉の協議がなく、取引価格据え置き
- 引き上げを求めたが回答がなく、取り引き価格据え置き
ようするに一方通行の状態が続くことが問題になっているようです。支払う側にとっては値上げはできるだけ先送りにしたいという考えがあるので、このようなことが発生していると思われます。
まとめ
物価上昇は今後も続く可能性があります。この手の話題は継続的に流れてくるかもしれません。優越的地位の濫用は、一方通行であり、コミュニケーションになっておらず、問題が発生しています。まずは協議の場を設定することが賢明です。協議の場があれば問題になることも少ないのではないでしょうか。先延ばしも手法のひとつですが使い方を考えなければ失敗してしまいます。
佐川急便やデンソーなど13社公表 価格転嫁協議せず: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA276CW0X21C22A2000000/
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆