成功パターンが好き

人は成功パターンを知りたがります。成功した人の話に興味があります。なぜでしょうか。それは、成功した人だけに価値があると思っているからです。そのため、成功した人のプロセスもすべて価値があると考え、そこに執着するようになります。いわゆる成功という残存者の情報だけに偏る習性です。これを生存者バイアス(survivorship bias)と呼んでいます。

生存者バイアス(survivorship bias)とは
何らかの選択過程を通過した人・物・事のみを基準として判断を行い、その結果には該当しない人・物・事が見えなくなること

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E5%AD%98%E8%80%85%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%82%B9

失敗した人を除外して考えてしまうのです。失敗した人はすべて価値がないように感じたり、失敗したプロセスには学ぶものがないように感じるのでしょう。でも本当にそうでしょうか。

どこから学べるのか

成功事例、成功パターンから学ぶことは多いのは確かです。しかし、成功だけを取り上げるのは偏りがあるのではないでしょうか。というのも、成功プロセスには偶然の要素も入っているからです。マイナスのことを乗り越えたエピソードには興味がありますが、再現性があるのかは判断しなければならないと感じます。

その点、失敗事例や失敗プロセスは、学びばかりです。教育という分野では
・失敗からしか学ぶべきことはない
という論もあるくらいです。
・このような判断をして失敗した
・慌てて判断したことが最後うまくいかなくなった
・後から考えれば他に選択肢を検討したほうがよかった
といったエピソードからは、今後につながる内容があるからです。 特に経営では戦略を考え判断し、選択するときに迷いが出ます。 過去の先人たちは、同じようなときにどのような判断をしたのか知っていると、決断の 精度が上がります。 戦略に関しては確信が持てるまで検討すること、誰に何を質問されても答えられるまで検討し尽くすことが先人たちの知恵です。迷ったら決断するな、という 言葉があること自体、それを物語っていると思います。

まとめ

生存者バイアスは、引っかかりやすいバイアスの1つです。 成功事例や成功プロセスを知ることで、成功の精度は上がると思いますが、大きく上がることは稀です。 経営においては、同じ業界の成功事例も自分の会社に当てはめると、なぜかさほど効果が出ないことがあります。 社内にいるスタッフが違うのもそうですし、お客様の状況も違います。なので再現性が高いとは言い切れないのが現実です。 今後も生存者バイアスについては忘れないでいたい領域です。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆