価格交渉のタイミング
営業担当の仕事の中に「価格交渉」という重要な仕事があります。法人向けのビジネスの場合、最初の取引はお客様の条件をそのままにして受注することがあります。新規開拓のために低粗利で受注するケースです。しかし、その条件で契約が続いていると、価格と内容が乖離してしまうこともあり価格改定をしなければならない場合もあります。最近は原価アップのためそのようなケースが増えています。たとえば
営業担当の報告:
お客様からこう言われています。「ホントにすみません、予算が取れなかったのでこの値段でやってもらえないでしょうか」といつも丁寧な口調で低い金額を提示されているんです。でもそれだと赤字なんです・・・・。
と報告がありました。今回のケースでは、原材料の高騰によりお客様の提示金額で対応できなくなっている状況があります。そのため窓口の担当は苦慮していたのです。そこで
「ちょっと言いづらいのですが、そろそろギブアップです」
とお伝えすることにしました。ある程度、関係性が構築されている場合のトークになりますが、伝えることは伝えていかなければなりません。しかし、そこには配慮も必要です。いきなり伝えるのではなく、お客様が話しを聞いてくれる余裕がある場面で、落ち着いているのを確認しながら、切り出すのです。状況を把握できないときは伝えるべきではありません。タイミングがここではカギになります。
値上げはタイミング
価格改定の相談は常にあります。値下げする場合は、いつでも価格改定が可能です。タイミングを考える必要はあまりありません。インパクトを与えるためのタイミングだけを見つけるだけです。その一方で値上げのタイミングはそれほどありません。物価が上昇しない時期は値上げのタイミングはなかったのです。振り返るとわかりますが、値上げできない状況は数年続いていました。数年に1回しか値上げのタイミングがないケースもあるのです。しかし、現在は価格上昇(インフレ)時期なので値上げの価格改定はタイミングがあります。複数回の値上げをしている企業もあるほどです。業界によっては、各社一斉に値上げをしてきます。
まとめ
値上げを伝えることを苦手とする人がいます。結構多いのかもしれません。しかし、伝えるべきことを伝えることが交渉の第一歩でもあります。最初は伝えるタイミングを察知できるようにすること。そして、伝える内容のパターンを考えておくことです。1パターンしかないと対応できる場面が一つしかありません。タイミングは複数回あるはずですが、トークのパターンが少なければ対応できず機会を逸してしまうこともあります。それを防ぐことからだと感じます。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆