ニュースの視点
ニュースをどの視点で見るのかはいつも迷います。両方の側面があるからです。今回の題材は「米国金融機関ファースト・リパブリック・バンクの破綻」です。報道では「史上2番目の規模」と表現されています。2008年の貯蓄金融機関に次ぐ規模の金融機関が破綻した、という事実をどのような視点で判断すればいいのでしょうか。
米ファースト・リパブリック・バンク経営破綻 史上2番目の規模
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230501/k10014054821000.html
破綻の経緯
今回破綻したファースト・リパブリック・バンクの総資産は31兆円でした。3月の金融不安から預金流失。3月に大手金融機関から4兆円の預金を入れてもらいました。しかし、預金流失は止まらず、3月末で9兆円超が出ていってしまった。結局、挽回できず今回の破綻に。破綻の発表が出たときには、「預金・資産をJPモルガン・チェースが買収」も同時に発表。金融不安払拭の段取りがすべて終わっていました。
払拭と煽り
金融機関の破綻はショックなことです。その事実は隠せません。しかし、米国の金融機関は数が多い。以前も日本の金融機関との数の比較を掲載しました。日本の数倍の数があり、人口対比でも2倍程度の金融機関数があるのです。数が多いから破綻しても大丈夫ということにはなりませんが、割合で考えれば現時点では少ないという判断もできます。ただ、破綻金額だけを見れば史上2番目の規模で破綻した事実もあり、そこだけ取り上げれば危機的な状況に見えてきます。
連鎖したら
米国金融機関の破綻はネットバンキングによる預金流失が原因です。預金流失したら大手金融機関から預金を入れる対策をしています。破綻した後の維持・継続するための買収などの対策をしています。今のところ数える程度の金融機関しか破綻していません。そのため対応ができています。しかし、これが連鎖したら対策不可能になるでしょう。やはり対応できる数には限界があります。このまま沈静化するのか、連鎖するのかが今後の分岐点です。
まとめ
ネットバンキングによる預金流失は脆弱だと感じます。金融機関には対策がありません。見ているしかないのでしょう。このリスクは金融機関の経営にとって大きな課題となりそうです。ネットバンキングによる預金流失が連鎖したら封鎖という最終手段も準備されていると感じます。どちらにしても、正常な状態ではないことだけは事実。その認識は外さないようにしたいです。
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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆