相反する内容が同時に出ている

解釈のちがいによって同じ事実も異なってとらえることがあります。同じ現象を見ていても解釈がちがうのです。不思議ですが、どちらにも根拠はあります。消費者物価指数が前年同月比で3.1%上昇したと報道されています。来月の10月も値上げが続くとあり、インフレが続いているのをデータでも裏付けされています。

8月の消費者物価指数 去年同月比3.1%上昇 10月も値上げ続く

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230922/k10014203341000.html

その一方で日銀の会合後の日銀総裁会見では、「賃金上昇を伴う形での2%の物価安定目標の達成にはなお至っていない」と伝えています。物価の2%上昇にはまだ到達していないと現時点では解釈しています。これは前提としている基点のちがいにより意見がちがうのです。コストアップにより物価上昇しているが、賃金の上昇をともなった物価2%上昇ではないと判断しています。そのため、金融緩和政策は変更なしとなっています。

日銀会見 “粘り強く金融緩和を続ける必要がある”

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230922/k10014203371000.html

減退しないのか

日銀の解釈では、賃金上昇を伴う物価アップならば購買意欲は減退しないだろうと考えていると思われます。そのため今の時点で金融緩和を止める決定はできないと考えているのでしょう。しかし、実際の生活はそうなのでしょうか。賃金の上昇とは関係なく、物価が上がることに関して購買意欲は減退していると考えています。お金の使い方を見ればわかりますが、モノを購入するときの決断が鈍っています。旅行や外食はなんとなくOKですが、それ以外は良い話しを聞きません。いずれ統計データでも出てくるでしょう。

金利のある世界に戻るには

日本は金利のある世界に戻ることができるのか、という点で意見が分かれています。金融緩和政策が終わりを告げれば金利は上昇します。その影響は大きいでしょう。現在の金利アップの影響は住宅ローンの固定金利だけが影響を受けており、固定金利で借りている人が少ないので影響は少ないと日銀総裁もコメントしています。それは、現在の話しであり、その後のことはわかっていてもコメントすることはありません。諸外国が金利アップをしている中で低金利のままで日本がどこまで継続するのかは注目されている点です。

まとめ

日銀の金融緩和政策は「インフレを目指す」施策です。そのためインフレ、値上げは続くのがわかります。国が物価上昇のために援助をしていますが、日銀は反する施策を選択しています。このあたりが今後の争点になるでしょう。住宅ローンの危機についてもようやくメディアで取り上げるようになりました。これについては次の機会に取り上げます。

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆