影響は少ない

日本の長期金利上昇の影響は少ないと日銀総裁の談話がありました。住宅ローンの場合、長期金利に連動する固定金利だけが上がっているだけ。短期金利に連動する変動金利は変化なし。現在の日本は変動金利の住宅ローンが7割なので影響が少ないと解釈しているのです。しかし、将来にわたって影響が少ないのでしょうか。

こんな将来予測も

ようやく住宅ローンのリスクについて記事が増えてきました。下記記事では、日本の住宅ローンが7割変動金利であるのが諸外国と比較して珍しいことを伝えています。米国では、長期固定金利を選択する人が9割以上になります。長期とは10年以上の固定金利のことを指しています。なぜ米国では長期固定金利を選ぶのか。それは、「過去、高インフレを経験。金利は上昇するという警戒感」があるようです。では、日本と似たような変動金利住宅ローンが多数の国はあるのでしょうか。

事例では、スウェーデンが取り上げられています。スウェーデンは日本と似たような構成で、住宅ローン変動金利が7割(新規購入者のうち)。これはヨーロッパの中でも特殊です。日本とスウェーデンは世界では少数派となります。

このスウェーデンは約2年間で政策金利が4%まで上昇しました。そのため「収入のうち住宅金利負担割合:平均約10%、前年2倍以上」となりました。持ち家を手放す人も出ていますが、住宅価格は下がっています。金利が上昇したので不動産新規購入者が減り、不動産不況になっているからです。住宅価格は1割下がっているようです。支払い続けてもしんどく、売却しても損をするかもしれないという局面に陥る人も出てきているでしょう。

「変動ローン、住宅熱の盲点 「7割選択」日本に北欧の警鐘」

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR06BGP0W3A900C2000000/?n_cid=NMAIL006_20230923_A

まとめ

日本の住宅ローン変動金利は返済額が5年間一定です。次の5年間の返済額が上昇しても1.25倍までの設定になっています。そのため支払いができなくなるケースは少ないと思います。しかし、持ち家を売却するときに不動産不況の場合は売却金額で住宅ローンが完済できないことも想定されます。実際にそれを経験した人を知っていますが、その後の返済が厳しいです。新しい住居の負担の上に前の住居の残ローンを返済し続けることになるからです。

他にも、住宅ローンが完済したときに残債が残るケースも想定されます。金利が上昇し続ければ金利ばかり支払うことになり元金が減りません。そんなことも想定していくことになると思います。いずれにしても、金利が上昇し続ければ精神的な圧迫を感じることにはなりそうです。防ぐためには、今から手を打っておくしかなさそうです。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆