練習のベキ法則(power law of practice)とは

練習のベキ法則、または学習のベキ法則としても知られるこの法則は、繰り返し練習や学習をすることで得られる効果に関する原理です。具体的には、個人が特定のタスクを繰り返し行うことで、そのタスクの遂行速度が回数が増えるとその都度変化するというもの。それを曲線で表すと特徴があるのです。

どのように推移するのか

最初の練習段階では、速度や効率の向上は大きく感じられるでしょう。一気に上達する感じです。10分で行っていた作業が9分、8分、7分と練習するたびに減少していくのです。しかし、練習の回数が増えるにつれて、その向上率は次第に小さくなります。10秒しか短縮できないことも発生するのです。つまり、練習の効果は初期には大きいが、徐々にその効果は減少していくということ。ときには停滞時期も発生するのです。これを練習のベキ法則と読んでいるのです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Power_law_of_practice
(下記↓、横軸が時間軸になります)

練習のベキ乗則

なぜこの法則は重要なのか

練習のベキ法則を理解することで、効率的な学習や練習の方法を見つける手助けとなります。初心者は短期間で大きな進歩を見ることができる一方、上級を目指すには、多くの時間と労力を必要とすることを認識することができます。たとえば、10回で1/2の時間に短縮できた場合でも、次の1/2の時間に到達するには10の2乗の100回必要だという考えです。

プラス面とマイナス面について

プラス面とマイナス面を考えてみます。プラス面は次の通り。

  1. 目に見える進歩→最初の段階では、速度や効率の向上は大きく感じられるため、学習者はモチベーションの向上や自信を感じやすい。
  2. 効率的な計画→練習のベキ法則を理解していれば、初心者は短期間での大きな進歩を期待でき、計画や目標設定がしやすくなる。
  3. 練習の最適化→この法則をもとに、必要な練習量や集中度を見極め、より効果的な学習方法を探る手助けとなる。

マイナス面は次の3つ↓

  1. 過度な期待→初めの急激な進歩により、その後の練習において同じ進歩が続くと誤って期待してしまうことがある。
  2. モチベーションの低下→進歩のペースが徐々に減少すると、学習者は挫折感を感じやすく、モチベーションが低下するリスクがある。
  3. 過度な練習→効果の減少に対して、より多くの時間や労力を注ぎ込んでしまうことで、過度な練習による疲労や怪我のリスクが高まることがある。

まとめ

このように、練習のベキ法則は、学習や練習の効果として知っておくべき内容です。この理解をもとに、個人の学習方法や練習スケジュールを最適化することができます。ようするに、挫折しない計画を立てられるのです。挫折しやすいポイントもわかりますし、停滞する時期も理解できるでしょう。その点を一度理解してしまえば、不可能だと感じていることも可能になるのです。実現するのです。

《参考》
スキル学習におけるスランプ発生に対する事例分析的アプローチ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tjsai/23/3/23_3_86/_pdf

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ藤原毅芳執筆