粘着性発揮
米国では、インフレ対策に誤算が生じているというニュースが報じられています。数ヶ月前までは、米国ソフトランディング(軟着陸)できる、と明言していました。多くの人が期待していたと思います。現実はそう簡単ではないようです。インフレは根強く、いまだに収まる気配を見せていません。
コストアップ型インフレなので
そもそもインフレには粘着性があると言われてます。今回のコストアップインフレなので、物価上昇が一度始まると、止まらないのです。コストアップは材料費だけでなく、人件費も上昇し続け、さらなる物価上昇を引き起こすという悪循環に陥っています。インフレを抑えるために金利を上昇させ、消費を冷まそうとしていますが不動産などの部分的な領域しか影響が出ていないようです。
日本も同じような
米国の状況を見ていると、日本も他人事ではありません。日本は長年デフレに苦しんできましたが、昨今の世界的なインフレ圧力を受けて、2年遅れで物価上昇が現実のものとなりつつあります。日本銀行は金融緩和を続けていますが、いつまでもこの政策を維持できるとは限りません。米国のように、インフレ対策のための金利アップに舵を切る必要に迫られる可能性は十分にあるでしょう。早ければ2024年6月から金利アップになる可能性も示唆されています。
目立つ動き
目立った動きとしては、住信SBIネット銀行が5月から短プラを上げます。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB178JC0X10C24A4000000/
短プラは、短期融資の基準となる金利です。また住宅ローンの変動型の基準金利でもあるので、変動金利型住宅ローンにも影響が出るのではないかと注目されています。変動型住宅ローンは現在の日本では、影響がほとんどないと解説されてきましたが、そうでもなさそうです。少なからず影響が出始めて2年後、3年後には2%台へと上がっていく可能性も理論上は否定できません。
金融の方に向いて
今回の日銀総裁は金融業界の方を向いて仕事をしている。決断していると言われ始めました。そうなると、性急な金融引き締めも想定しておくほうがよさそうです。どうなるかといえば、景気を過度に冷やしてしまう恐れがあるのを想定しておくこと。2024年の年末から2025年に発生する事象として数あるケースの中のひとつとしてシミュレーションしておきたいと思います。
まとめ
米国のインフレ対策の行方は、日本にとってもヒントを与えてくれます。日本は米国のプロセスから、次の日本に発生する事象を想定しておく時期に来ていると感じます。経済は順調に見えても急変することは歴史が証明しています。慎重に見ていきたい領域です。
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