日銀が警戒

日銀が地銀の不動産融資動向を警戒していると出ていました。低金利状態が続いていたので、地銀は不動産融資に偏った経営をしてきたのです。それが目をつけられているようです。そこに、リスクがあると見ているのでしょう。なぜ、そうなってきたのかを見ていきます。

選択肢がなかったのか

日本銀行は、地銀の不動産融資動向に対して警戒を強めていますが、これは長年続いた低金利環境下で、地銀が不動産融資残高を増加させてきたからです。実際に、ある統計によると、過去10年間で地銀の不動産向け融資残高は約60%も増加しています。かなりのハイペースで増加しているように見えます。他に収益源が乏しく、国内では不動産融資しか選択がなかったのかもしれません。

リスクが

現在金利は若干ですが上昇しています。金利上昇や不動産市場の変動によって、地銀の収益を悪化させるリスクが高まっています。不動産向け融資への過度な依存が、今や地域金融機関にとって重荷になりつつあるのです。

金利が上昇すると、不動産市場が冷え込む可能性があります。現在、建築材料の高騰による建設費の上昇で不動産市場は限定的ですが冷え込んでいます。そこに金利上昇が加わるとさらに停滞する可能性が高くなります。在庫が増えているのも耳にします。

ストレステスト

日銀は地銀の状況を見て、ストレステストを実施。不動産不況になった場合の結果をシミュレーションしたのです。その結果、不動産不況によって損失が発生する地銀の割合は8割になってしまうそうです。ただ「国内金融機関全体でみた経済損失は限定的」としているので、あまり大きく報道されてほしくないような感じです。実際に米国では金利が一気に上昇し不動産不況が発生しています。まだ大きな事象にはなっていませんが、今後は米国で不動産不況の報道が増えてくるでしょう。それもあって、日銀は日本の金融機関の状況を心配しているように見えます。

まとめ

バブルの崩壊には不動産業界が大きく絡んでいることがあります。関連性が高く、市場の規模も大きいので影響が出やすい。金融機関においても収益性を考えると不動産融資は額も大きくなるので避けては通れません。このような構造が今後どうなっていくのかが注目される領域です。日銀がリスクと感じているのも理解できます。経営が行き詰まっているという情報が流れている地銀も出てきています。今後も目が離せません。

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