根本原因
課題の根本原因のことをルート・コーズ(Root Cause)と呼び、根本原因分析のことをルート・コーズ・アナリシス(Root Cause Analysis)と呼んでいます。経営においても、根本原因を探ることは欠かせないポイント。外すことはできません。表面的な課題を解決しても、課題は再発してしまうからです。根本から解決しなければスッキリしないのです。医療の世界でも根本治療と呼ばれている分野がありますが、「病気の大元を断ち切る」という意味で使われています。経営においても同じだと考えています。
分類すると
企業経営において、問題や課題に直面することは避けられません。最近も問題は増えました。課題が続々と表出する時期に来ているのを感じます。課題をカテゴリー別に分類すると下記のように分けることができます。
- 人的要因(リーダーシップ、コミュニケーション、スキル、モチベーションなど)
- 戦略的要因(事業戦略、市場対応、競合対応、リソース配分など)
- 運用・プロセス要因(業務プロセス、品質管理、技術・設備、サプライチェーンなど)
- 組織文化要因(変化への抵抗、職場環境、倫理・不正行為、コンプライアンス、多様性など)
- 外部要因(経済変動、法規制、技術進歩、自然災害など)
これらの要因は、単独で問題を引き起こすこともありますが、多くの場合、複数の要因が複雑に絡み合っています。そのため、経営者には問題の根本原因を特定するための広い視野が必要です。課題を特定できる能力が求められており、特定できる人が社内にいる場合は良いのですが、いないケースは根本解決ができないことになります。
もう少し詳細に要因を分解してみます。
1)人的要因
- リーダーシップの欠如や意思決定の失敗
- コミュニケーションの不足や混乱
- スタッフのスキル不足や教育の不備不足
- モチベーションの低下やスタッフの不満
2)戦略的要因
- 不適切な事業戦略や計画
- 市場や顧客ニーズの変化への対応の失敗
- 競合他社への対応、追随の失敗
- リソース配分の失敗
3)運用・プロセス要因
- 非効率的な業務プロセスや手順
- 品質管理の不備
- 技術的な問題や老朽化した設備
- サプライチェーンの問題
4)組織文化要因
- 変化に対する抵抗
- 非生産的な職場環境や文化
- 倫理的問題や不正行為
- 多様性の欠如
5)外部要因
- 経済的な変動や景気後退
- 法規制の変更
- 技術の急速な進歩
- 自然災害や予期せぬ事象
解決プロセス
Root Cause Analysis(根本原因分析)は、問題の根本原因を体系的に特定するための手法。以下のようなステップを踏むことが一般的です。
- 問題の明確化:問題の範囲、影響、症状などを明確にする、明らかにする、見える化する
- データ収集:問題に関連するデータや情報を収集し、事実関係を把握する
- 原因の特定:収集したデータを分析し、問題の根本原因を特定する
- 解決策の立案:特定した根本原因に対する解決策を複数立案する
- 解決策の実行:立案した複数の解決策を実行し、問題の解決を図る
- 効果の検証:解決策の実行後、問題が解決されたことを確認し、必要に応じて追加の対策を実践する
Root Cause Analysis を効果的に実施するためには、データが集まることがポイントになります。結局のところデータや情報が集まらないケースも多々あり、課題を特定できずに終わってしまうこともあるからです。
まとめ
課題解決のとき、優先すべき視点は
①根本解決
②全体最適
の2つです。今回は根本要因を取り上げました。これだけでも奥が深い内容です。時間はかかると思いますが、根本解決するための根本要因を特定できる能力を養うと効果は大きいです。
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