行動できない、を考える
不思議なもので、人はやらなければならないことはわかっている。特に仕事においては「これをやらなければならないですよね」と自ら言う人の方が多い。でも、行動していない。そこには、何か理由があるのでしょう。その点を今回は考えてみたいと思います。単純な光景に見えますが、かなり奥が深い問題です。
なぜ行動しない
リーダーとして、メンバーに指示を出しても行動しない人がいると、非常にもどかしく感じることがあります。そこで、カッとなることは簡単ですが、怒ったところで人は動かない。カッとなって、威圧して相手が行動するときもありますが、続かない。もしくは、リーダーがいるところでしか行動しない。これではあまり意味がない。威圧的な態度で行動をうながすのは、もっとも簡単で安易な方法と自ら理解した方が良い。
必要性を
行動しない人が目の前にいるとき、どうして行動しないのかを考えるところからスタートです。相手には、行動しない理由があるからです。いくつか原因はありますが、まず取り上げるのは、その原因の一つ「行動の必要性を感じない」ことです。必要性を感じないとき人は行動しません。自発的には動かないのです。なぜなら、行動が必要ではないから。他の言い方をすれば、理解が浅いので、必要性を感じないだけです。人は理解の量が臨界点に達すれば必ず行動します。自分にメリットがあると理解するからです。それが必要性のひとつです。
感じない理由
行動の必要性を感じない理由を考えてみると以下のようなものがあります。
- 行動の内容がわからない、理解できない
- 行動することのメリットが感じられない、理解できない
- 行動しないことによるリスクやデメリットが感じられない、想像できない
こうした初期の理解は必須事項。十分条件ではなく必要条件だと認識しておいてください。この理解のプロセスをカットしてしまうと、進捗の途中や最後の段階で失敗する確率が急に高くなります。もともと理解していない場合は、途中で行動が止まってしまうのです。最初だけ動いて、途中で止まり、最後は行動計画がフェードアウトしていくことは繰り返されている現実です。
では何を
では、何を理解することになるのでしょうか。必要性の理解を深めるプロセスを考えてみると次のようになります。
- 行動の内容を詳細に説明する
指示された行動の内容について、具体的かつ詳細に説明することで、メンバーの理解を深めます。曖昧な指示では、行動に移しづらくなってしまうのです。この説明力はリーダーの実力です - 行動のメリットを理解してもらう
指示された行動を取ることで、どのようなメリットがあるのかを明確に伝えます。個人のメリットだけでなく、チームや組織全体にとってのメリットも合わせて説明し、納得してもらうことです。ここでは、理解より納得です。メリットや利益を納得しなければ次へは進めないこと。納得するまで何度も同じことを説明することになります - 行動しないリスクを伝える
指示された行動を取らないことで、どのようなリスクやデメリットがあるのかを伝えます。時間の経過とともに解決するならば何もしなくていいですが、そのようなことは通常ありません。行動することでリスクを軽減するという文化を醸成したいです
まとめ
リーダーの仕事は説明を何度もすること、と言われます。それは、理解が浅いメンバーに対して、何度も同じことを説明することで理解を深めたり、理解の量を増やすためです。同じことを言われ続けると人はその内容について思考するようになります。そうなれば、理解が自然と深まります。1度で理解させようとせず、何度も回数と時間をかけて理解の量を増やすことがここではポイントになります。同じことを何度も言い続けられるのもリーダーの実力だと感じます。
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