ジレンマ

毎日、毎時間、人は無数の意思決定を行っています。その中でも、目先の利益と将来の利益のどちらを選ぶかは、特に重要な意思決定のひとつ。迷います。なぜなら、現時点で正解がわからないからです。こうした目先と将来の利益の選択のことを「異時点間の選択」と呼んでいます。

実際には、目先の利益と将来の利益、どちらを選ぶでしょうか。実験するとわかりますが、人は往々にして目先の利益を選択しがち。その理由として、以下のような点が考えられます。

  • 即時的満足の追求:目先の利益は即時的な満足をもたらすため、魅力的に感じられる
  • 不確実性への対処:将来の利益は不確実性を伴うため、リスクを避ける傾向から目先の利益を選択しがち
  • 自制心の欠如:長期的な利益を得るには自制心が必要だが、多くの人は自制心が十分でない
  • バイアス:現在の状況や感情に強く影響され、将来の利益を過小評価する傾向がある

特に、不確実性があるものに対しては、リスクを感じ、選択しないことが多いと感じています。リスク回避の考え方です。そのリスクより、目先の利益の方が確実なので、確実な方を選んでしまう習性があるのです。

経営の視点

経営においては、長期的視点を養っていくことがポイントになります。経営においては、長期的な視点で選択するときは、目先の利益を捨てることもあるからです。目先の利益を犠牲にしてでも、将来の大きな利益を獲得するための選択になることもあるのです。しかし、まわりからは理解が得られないでしょう。関わったプロジェクトに関して長期的視点で選択していても、目先は結果が出ていないので批判されてしまうケースがあるからです。新規事業は社内に敵がいる、と言われるのはそのためです。

自覚する

人は冷静に判断していると自覚していますが、そうではありません。どうしても感情や欲求が優先することもあるからです。経営においてリーダーの人には「将来的価値」で判断してほしいと願っていますが、そうならないのも同じことでしょう。目先の利益を優先することもよくあることです。

そう考えると、自分の判断には誤りがあり、バイアスがかかっていることを自覚しておけば失敗の確率も減っていくはずです。

項目内容
異時点間の選択の定義現在と将来の異なる時点に得られる利益について、どちらかを選択すること
人が目先の利益を選択しがちな理由1. 即時的満足の追求
2. 不確実性への対処
3. 自制心の欠如
4. バイアス
適切な異時点間の選択のために必要なこと・自制心を養う
・バイアスに惑わされない(バイアスを自覚する)
・冷静に判断する

まとめ

異時点間の選択は、習得によって身についていくものだと感じます。数年先、5年先の利益を優先させるには情報収集と判断力が問われます。人は数年先の不確実な局面を想像して、選択判断することは避ける傾向にあるからです。徐々に培っていく能力のひとつだと感じています。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆