量的引き締め局面への転換

日本銀行の金融政策決定会合後、植田総裁は記者会見で「国債買い入れの減額方針」を発表しました。しかし、具体的な減額の量については明確にしない内容で、はっきりしない発表内容だと認識されています。植田総裁は「失言」により、為替が円安に振れてしまったことが最近あったので、慎重な表現だったと感じています。

ようやくスタート

以前から日銀の国債買い入れ額は減少することもあり、これはテストの一環だったのではないかと感じていました。今回、記者会見で国債買い入れ減額を公表したことで、日銀は保有国債の縮小を宣言したことになります。つまり、日銀が量的引き締め(QT)局面に入ることを通達した形です。ようやく日本も引き締め局面に遅れて入ることになったのです。先進国では2019年以降に国債を急増させ、その後減少させてきました。日本も最初は同じような動きだったのですが、減少させることがなく今まで来てしまったのです。

今後の変化とは

今後、日本経済と金融市場において、いくつかの変化が予想されます。

  • 金利の上昇
  • 企業の資金調達コストの上昇

長期的に見れば、金利上昇は避けられないでしょう。日銀は、経済への影響を最小限に抑えるために、時間をかけてジワジワと金利を上げていくことになると予想しています。為替も金利上昇によって円高に誘導されていくと言われています。ただ、米国事情を考えれば、急に円高になる可能性は低いと考えています。どちらにしても、動きがわかりにくいほどゆっくりなペースで推移させたいのではないか、と推測しています。

まとめ

日銀が量的引き締めに舵を切ったからといって、即座に大きな変化が起こるわけではありません。日銀は慎重にバランスを取りながら、徐々に政策を調整していく方針だと感じています。スローペースで安全運転をするつもりです。それが市場のコントロールだと考えているはずです。逆を言えば、安全運転しか選択できないとも考えられます。金利上昇のペースが欧州のように急上昇すると日本の場合は日銀の国債保有量が他国より多いので影響が大きいのです。今後も日銀の動きはスローペース、安全運転が基調になると思います。

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