酒の輸出:国別
日本の酒類輸出に関する最新のデータ(国税庁)をもとに、その傾向と今後の展望についてお話しします。2023年、日本の酒類輸出は興味深い変化を見せています。全体的には前年比3.4%減少と、やや下降傾向にありますが、その中身を見ると様々な変化が見られます。主な変化をまとめると下記のような内容になります。
- ウイスキー:10.6%減少
- 清酒(日本酒):13.5%減少
- ビール:66.6%増加
- 中国向け輸出:18.3%減少
- アメリカ向け輸出:11.4%減少
- 韓国向け輸出:156.0%増加
- オランダ向け輸出:59.7%増加
- オーストラリア向け輸出:17.2%増加
ウイスキーと清酒の輸出減少は、中国輸出量減少が影響しているかもしれません。一方で、意外な躍進を見せているのがビール。韓国で日本のビールが増加しています。他にも日本のクラフトビールの人気も出ているようです。
展望
輸出先を見ると、規模が大きい中国とアメリカ向けが振るわない中、韓国向けが大幅に伸びています。韓国での日本食人気や、若者を中心とした日本の酒文化への関心の高まりがこの急増の要因なのでしょう。また、オランダやオーストラリアなど、一部のヨーロッパやオセアニア市場での成長も見られます。今後の展望としては
- ビールの成長
- 主力のウイスキーや日本酒の輸出回復、再成長
という期待が大きくなるでしょう。
酒蔵数
酒類の製造場所の数は、下記の図のようになっています。
・清酒:1,536
・焼酎:355
・果実酒:512
・ビール:383
ビールが増えているのがわかります。今後はウィスキー醸造所も増加傾向にあります。ただ、生き残りの道は狭く、単なる流行りで数が増えても数年後には戻ることもあります。
清酒は1500以上の場所で製造されており、銘柄はその数倍の1万銘柄以上あると言われています。その中で、記憶に残っている銘柄は限られており、競争が激しい市場であるのがわかります。
まとめ
酒の消費量は国内で下がり傾向です。そのため輸出に力を入れている業界です。国内の消費量は将来も下がっていくだけなので、選択肢として輸出を選ぶ企業は増えていくでしょう。今後もデータが動く業界だと感じています。
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