シフトする
小売業界の変化に目が止まりました。これまで当たり前だった「在庫が残ればセールをする」という商習慣をやめる企業が出始めているのです。なぜこのような変化が起きているのでしょうか。そして、この変化は消費者にどのような影響を与えるのか。その点について考えてみたいと思います。
セールの効果低下
従来、セールは在庫処分の有効な手段でした。セールをすれば売れたのです。在庫を処分する意味もありましたが、業界によっては、定価販売→セール販売を最初から予定しているメーカーもあるくらいです。でも、その計画が崩れています。最近ではセールを実施しても思うように売れないケースが増えているのです。その背景には、消費者の意識変化があるはず。その心理を考えてみると
- 安さだけでは購買意欲がわかない
- 必要のないものは安くても買わない
- 価格以外の価値を重視する
このように、消費者の心理は時間とともに変わりますし、突然変わってしまうこともよくあることです。気まぐれなところがあります。
定価販売へのシフト
このような状況を受け、ある企業が定価販売にシフトし始めています。家電やアパレルなど、様々な業界で定価販売への移行や、定価販売期間の延長といった試みが行われているのです。しかも成功しています。定価販売が定着しているのを見ると今後も定価販売の割合は増えてくるのではないでしょうか。定価販売のメリットを考えてみると
- ブランド価値の維持
- 安定した利益率の確保
- 在庫管理の効率化
のようになります。大量生産、大量消費というビジネスモデル以外も模索できるので、定価販売のメリットはメーカー側にとって大きいといえるでしょう。
今後
一部の企業は従来のセール戦略から抜け出せない可能性もありますが、他方では積極的に定価販売モデルを採用する企業も増えてくると予想しています。消費者にとってはどうなのでしょうか。以下のような消費者行動に注目することになりそうです。
- 商品の本質的な価値をより重視する
- 計画的な購買行動
- ブランドや商品に対する新たな評価基準の形成
消費者も定価販売を受け入れていく、定価販売を受け入れる人の数が増える。ゆっくりな動きですが、そうなっていく面も忘れてはいけません。
まとめ
小売業界におけるセールから定価販売へのシフトは、単なる販売戦略の変更ではありません。大きくビジネスモデルを変えてしまうかもしれないのです。動きとしては、徐々に広がっていく活動になりますが、全体の2割だけでも定価販売できるだけで業績、利益に変化が出てくるはずです。定価販売の動きも取り入れていく時期に来ているのを実感します。
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