価格支配力指標
企業の収益性と市場での競争力を測る指標として、マークアップ率があります。マークアップ率とは、商品の仕入れ価格に対する販売価格の上乗せ率のことで、企業の利益確保の割合を表現するものです。
たとえば、
・1,000円で仕入れた製品を1,200円で販売する場合。マークアップ率は1,2(粗利は16%)
・1,000円で仕入れた製品を1,300円で販売する場合。マークアップ率は1,3(粗利は23%)
・1,000円で仕入れた製品を1,400円で販売する場合。マークアップ率は1,4(粗利は28%)
となります。当然ですが、マークアップ率が高い場合、「価格支配力がある」と表現されます。価格設定ができる優位なポジションにいるので支配力があると見なされるのです。
海外比較
このマークアップ率を海外と比較してみます。米国と比較してみましょう。
- 日本:この20年間、マークアップ率は1.3程度で推移
- 米国:従来1.4倍で推移していたが、最近は1.5まで上昇
日本と米国ではこのマークアップ率に大きな差があることがわかります。他国でもイタリアはさらにマークアップ率が高いといわれています。高級品、ブランド品を世界で展開している国はマークアップ率が高くなる傾向にあるのです。
何かがある
価格支配力とは、市場価格よりも高い価格で製品やサービスを販売できる能力を指しますが、通常は市場価格より高いと売れません。市場価格より高い金額で売れている場合はそれなりの理由があります。主に考えられるのは次の点。
- 強力なブランド力を持つ
- 特定の領域で市場シェアを有している
- 独自の技術やノウハウを持つ
単に競合がない場合も価格支配力がありますし、狭い市場であってもシェアを占有できれば支配力が高くなります。ポイントの中から永続性の高いケースを考えてみると、やはり特定の市場でシェアを確保することだと感じます。最初はポジションを占有し、その後シェアを確保することです。シェア40%超を目指すことになるでしょう。
プロセス
先行者がいるケースと誰もいないケースではプロセスが違いますが、ゼロから構築する場合を考えると次のような流れになると考えています。
- 空席のポジションを占有する
- そのポジションで知名度を上げる
- 先行者として認識される
- シェアを上げていく
どうしても、人間は特定の市場において認識できるブランドは3個程度です。その中に入ることが最初は優先。そのために集中して取り組むことになるのです。
まとめ
価格支配力という視点でブランド力を測定すれば、自分たちの実力が見えてくると思います。価格支配力が高い場合は、粗利率も高くなります。受注金額の大きい小さいより、粗利率が高いのか低いのかが気になるのはそのためです。価格支配力が下がっている場合は、売上が維持されていても粗利が下がってきます。競争相手の存在がそこにあらわれているのです。この点を見逃さないようにしたいです。
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