唐突な下落
2024年8月5日、日本の株式市場は記録を残しました。日経平均株価が4,451円の下落を記録。これは東京証券取引所の歴史の中で最大の下げ幅となりました。前例のないな下落と表現されるほどです。
この暴落は突然起こったものではありません。実は、先週も大きく下げた1日もあり、わずか2営業日で、日経平均は約6,000円下落となったのです。さらに、日経平均を構成する225銘柄すべてが下落していました。市場全体が一斉に売りに傾いたことを示しています。
日銀の政策転換
表面上の理由として、日本銀行(日銀)の政策金利引き上げ決定が影響したと言われています。「植田ショック」という表現も出てきました。長年続いた超低金利政策からの転換は、確かに市場に大きな影響を与えたのでしょう。しかし、これだけでは今回の理由を十分に説明することはできないと考えています。
実は、7月末の日銀政策決定会合では、もう一つ重要な決定がありました。それは、日銀による国債買入額の減額です。時間をかけて減額する。2025年の2月ごろを目安に国債買入額を半分にすると発表していたのです。結果、以下の2点が明確になりました。
- 日本のいわゆる「異次元緩和」と呼ばれた金融緩和政策が実質的に終わりを告げた
- 世界の主要中央銀行による金融緩和政策がすべて終了した
これは、グローバルな金融環境の大きな転換点を意味します。長年続いた「マネーを供給する」状況から、徐々に「お金が引き締める」状況へと移行することを示唆しているのです。
6ヶ月後の日本
今回の暴落も、単に目の前のできごとだけでなく、将来の経済状況を予測した結果かもしれないと考えています。6ヶ月先の日本経済の姿を先取りした株価の動きだと感じます。つまり、近い将来に訪れるかもしれない景気後退を予想して、動いているかもしれません。先手で動くことがあるのが株価の動きだからです。
不確実性の中
このような大幅な下落の後、市場がどのように反応するかは極めて不透明です。一般的に、急激な下落の後には反発(いわゆる「戻り」)が見られることが多いですが、それが持続的な回復につながるかどうかは別問題。ジェットコースターのような上下が少しの間は続くでしょう
まとめ
今回の暴落は確かに衝撃的でしたが、同時に将来のことを深く考えさせてくれるタイミングです。ベストシナリオだけでなくワーストシナリオも予想しながら今後の時を刻んでいければと思います。
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