組織のナンバーツー

組織の成功には、適切な人財が不可欠です。ただ、これは永遠の悩みのようにも感じるときがあります。解決しないであろう課題のひとつなのかもしれません。しかし、最適解を知っておくことは意味があると思います。

今回は組織のNO2の人財について取り上げます。NO2といっても1人に限定しているわけではなく、複数人の場合もあります。トップを支える人たちの最適解の一部を考えてみたいと思います。

◯◯がない人

トップを支えるNO2(ナンバーツー)の役割は大きいです。非常に大きいといっていいでしょう。そのため、ある性質を持っている人の方が最適です。それは、エゴが小さい、あるいはエゴがない人です。

エゴのない人がこの立場に最も適していると言われているのです。いわゆる成熟した人、冷静な判断ができる人が最適なのです。
では、なぜエゴのない人が最適なのでしょうか。

1. サポートに集中できる

エゴが小さい人は、自己主張や自己顕示欲が強くありません。自己利益に誘導することもほとんどないのです。そのため、サポートに集中できる人になることができます。しかし、どうしてもリーダーの中には、自分の部署や自分の利害に執着しがちです。利益誘導の判断をしてしまうのです。そうなるとサポートにエネルギーを注げません。そこが差になってきます。

2. チームワークを

エゴがない人は、「自分が正しい」「自分の意見を通さなければならない」という考えにとらわれません。そのため、他のメンバーの意見に耳を傾け、チーム全体の調和を保つことができます。調整役に徹することができるのです。そこがメリットであり、大きな貢献です。ナンバーツーは、トップとチームの間の橋渡し役として、この能力を最大に活かすと組織へのメリットが大きく生じます。

3. 柔軟な対応

エゴが小さい人は、状況に応じて柔軟に対応することができます。ときには自分の意見を押し通すこともあれば、譲歩すべきときもあります。エゴに縛られない人は、組織の利益を第一に考え、最適な判断を下すことができます。全体最適を優先できるのです。ココはかなり大事。全体最適を考えながらバランの取れた対応力がある人がいることは大きな意味を持ちます。

4. 批判を建設的に受け止められる

ナンバーツーの立場では、様々な方向から批判を受けることがあります。言いやすい立場だからです。そのとき、エゴがない人は、これらの批判を個人攻撃として受け取るのではなく、改善の機会としてとらえることができます。受け止める面積が広いので、カッとなることもなく、傾聴できるのです。受け止めてくれる人がいる組織と、いない組織では安定性がちがいます。見えにくいところですが、必要条件なのではないでしょうか。

5. 信頼関係を

エゴが小さい人は、他者との間に強い信頼関係を築きやすい。自分より目の前の人を優先させることができるからです。自分の利益よりも他者の利益を優先するため、周囲から信頼を得やすくなるのです。利他優先なのです。これができると、スタッフは組織との信頼を増やすことになり、安心して働ける組織へと成長していきます。

経験によって

どのような経験がこのようなエゴのない性質になっていくのでしょうか。どうしたら成熟をもたらすのか。少し考えてみたいと思います。

  1. 他者の成功を心から喜べるようになった経験
  2. 長期的な目標のために短期的な利益や欲求を我慢した経験
  3. 自分より優れた人と協働する機会
  4. 重要な決断の結果に対する責任を取った経験
  5. 他者の成長や成功をサポートした経験
  6. 長期的なプロジェクトや目標を自分の力だけで達成した経験

まとめてみると、ある程度の経験が多く、自分の力で成功も失敗も経験していること。そして、長期的な取り組みに対して粘り強く取り組んで達成した経験がある人ほど、エゴが少なくなるでしょう。達成感と満足感と余裕がそうさせているからです。

まとめ

このように見てくるとエゴがない、あるいはエゴが小さい人がナンバーツーに複数人いることは大事だと感じます。組織が安定し、また組織が間違った方向へ行かないように修正できるようになるからです。組織が間違った方向へ進んでしまうとき、小さな兆候が出てきますが、気が付かないことがあります。それが無くなります。エゴのないNO2のところに、マイナス兆候が集まるからです。この人なら伝えたくなる、とスタッフが感じるからでしょう。本来の役職だと「監査役」のような立場になりますが、現場と離れたところにあるとマイナス兆候は見えてきません。そこがネック。なので、エゴのない人をNO2にいる組織は健全性が保てると感じます。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆