最多水準
「企業の在庫が最多水準」と記事が出ています。ただ、実態と即しているのかどうかが疑問でした。元データを見て、現段階では判断できないと感じたので、その内容をまとめてみたいと思います。
企業の在庫が最多水準 原料・製品とも、安定供給を重視:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA130CT0T10C24A9000000/
在庫が増えるとき
企業の製品在庫が増加しているとき、その意味するところは一様ではありません。解釈が複数あるのです。表面的には同じ「在庫増加」という現象でも、その背景には複数の要因が潜んでいる可能性があるわけです。単に、マイナスととらえるのは、一面的過ぎるので判断としては、慎重に結論を出していくポイントだといるも感じています。
在庫増加の二面性
在庫増加には、主に次の二つの側面があると考えています。要因が分かれているのです。
1)供給安定化のための戦略的増加
- 将来の需要に備えて意図的に在庫を積み増す、もしくは急な注文に対応するための準備
- 即納できる体制を維持するための在庫の場合もあります
- サプライチェーンの不確実性に対するリスクヘッジ、納期遅延により遅延損害が発生するのを防ぐために決断される在庫です
2)販売不振による非意図的増加
- 製品が市場で予想通り売れていない結果、在庫が積み上がる
- 需要予測の誤りによる過剰生産、つくり過ぎの状態
単純に在庫データだけを見ても、どちらの状況なのかを判断するのは困難。販売の状況を見なければ判断できないと思っています。
多様な要因
在庫が増えるタイミングは他にも要因があります。特殊要因であり、一時的な要因の場合です。たとえば下記のようなケースです。
- 季節性
特定の時期の需要に備えた計画的な在庫増加。今後売上を増加させるための在庫 - 原材料価格の変動
将来の価格上昇を見越した戦略的な在庫確保、もしくは安価な価格で事前調達 - 新製品の導入
新製品ローンチに向けた在庫増、ローンチ時に販売機会ロスを減らすための在庫
まとめ
企業の在庫増加は、一見シンプルな現象に見えて、実は複雑な要因が絡み合った結果だと感じています。単純に「良い」「悪い」と判断するのではなく、多角的な視点から分析しなければ判断できません。外部から見ると「在庫過多」に見えてしまいがちですが、それはフィルターがかかっている状態なのです。フィルターをいかに外すかがここではカギになります。
もし在庫が増えている実態があるのであれば、経営計画は見直しすることになります。特に、販売先(顧客)の製品が販売不振で在庫過多になっているかどうかはキャッチしておきたいところです。必ず在庫調整が入るからです。3ヶ月先、6ヶ月先、1年先を予想するうえで大切な指標になると思います。
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