延期

正式承認されました。13年の延長が認められたのです。金融庁がきらやか銀行に対する措置です。公的資金200億円の返済期限が2024年9月でした。これを2037年9月末まで13年延長するという決定を下したのです。この決定は、報道で大きく取り上げられることはありません。金融機関のネガティブな内容は小さく報道されるか、大きなニュースがあるときにひっそりと公開されます。今回も、米国利下げが発表されたタイミングできらやか銀行の正式承認が報道されました。いつもこのようなタイミングです。不安を煽らないようにするための配慮だと思います。

日本の金融機関

単に今回の決定は、ひとつの地方銀行の経営環境が厳しいだけの話です。健全な経営をされているところもあれば、失敗を重ねる経営もあるのだと実感します。日本は金融機関の数はそれほど多くはありません。そのため、エリアで選択できる金融機関も限られます。地方では選択肢がほとんどない状態のところもあります。逆に関東エリア、東京エリアに地方銀行が力を入れています。そのため東京エリアでは選択肢が広がっている状況があるのです。

特別措置の背景

通常、企業が融資を受ける場合、返済期限までに返済できないと延長されることはまれです。13年延長も聞いたことがありません。特例扱いだと思います。なぜなら、金融機関の場合は状況が違うからでしょう。その理由として以下が考えられます。

  1. 金融システムの安定性維持
  2. 地域経済への影響の考慮(エリア内で他の選択肢が少ないため)

今回はエリア内の企業への配慮が優先されたと思います。

統制

自由に経営をする前提で成立しているものが、介入や支援によって延命されることは統制された環境となってしまいます。自由ではありません。そのため、その部分だけ歪みが生じます。何かを守るためには、最後の手段だったのかもしれませんが、自由な環境は損なわれたのも事実です。世の中の経営は、同じ前提、同じ環境で自由に行動できることが原則。そのため新規参入もあれば退出もあるのです。それが自由を成立させる要因です。今回のように特別扱いが生じたとことは部分的ですが、自由がなくなったと解釈できるのではないでしょうか。

まとめ

この金融庁の決定は、短期的な金融システムの安定化と長期的な経済の健全性のバランスを取る難しさを示しています。自由経済の原則と介入の必要性、公平性と特別措置の是非など、多くの課題を提起しているでしょう。考えさせられる内容です。

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