引き上げスピード上がるのか
2024年10月1日から、全国で最低賃金の引き上げが順次実施され、全国の時給平均が1055円になりました。2年連続で大幅なアップ。これが続くのでしょうか。今後は、『2020年代のうちに全国平均で1500円まで引き上げる』ことを目指すと言われています。この1500円という目標を達成するには、今後さらに上昇率が高まる可能性があります。仮に5%ずつ毎年上昇したとしても、2029年時点で時給1420円前後。それよりも速いスピードで上がっていくことも想定できるので、急に優先順位の高い課題になっています。
影響
最低賃金の引き上げは避けられず、毎年の恒例行事となっています。今後も避けられそうになく、これは企業にとって、毎年の人件費増を吸収できる利益を出さなければならないことを意味します。書くと簡単ですが、達成するのは簡単ではありません。
ある企業で試算にしたところ、売上の3%の額を利益アップする必要があると結果が出ました。3%の原価低減ができれば問題ありませんが、コスト低減は今まで取り組んでいるはずなので、これ以上のコスト削減が余地がないケースもあるでしょう。
難しさ
コスト削減が限界に達した場合、次の選択肢は値上げです。これも書くと簡単ですが、値上げの実現は道のりが長いケースもあります。なぜなら、全ての顧客が値上げを了承してくれるわけではないからです。ビジネスは力関係で価格が決定されます。そのため、経営環境によって値上げできる、値上げできない、が決まってしまうのです。
影響を受けやすい
以下のような特徴を持つ企業は、最低賃金アップの影響をダイレクトに受けます。
- パートタイム労働者の割合が大きい
- 値上げが難しい、または顧客に受け入れてもらえない
- これ以上のコスト低減が困難
このような経営環境の場合は早急にビジネスモデルの転換、本業転換が求められます。同じビジネスもままでは企業規模を縮小するしかないかもしれません。
今後
政府も値上げを認めない企業に対して何らかの対策を検討しているようですが、その効果は限定的になるケースもあるはず。当てにはしない方がいいでしょう。業界ごとに慣習がありますし、業界の歴史を変えるには時間がかかるからです。結局のところ、各企業の自助努力が求められることになります。
まとめ
最低賃金の引き上げは社会的に重要な施策ですが、企業経営に大きな影響を与えます。今後の経営はインフレと向き合う必要があり、柔軟な対応と創意工夫が求められます。企業は、生産性の向上、新たな付加価値の創出、業務プロセスの見直しなど、様々な角度から対策を検討する必要があるでしょう。
日商会頭 “最低賃金引き上げ 地方企業が支払えるか見極めを”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241003/k10014599911000.html
最低賃金 きょうから順次引き上げ 全国の時給平均1055円に
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241001/k10014596781000.html
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