変更になった現実

電気自動車(EV)への移行は、世界中で環境保護と持続可能なモビリティの象徴として注目されてきました。特に欧州は、2030年までにすべての新車をEVにするという野心的な計画を掲げていたのです。しかし、最近になってこの計画が撤回。目標をおろしたのです。なぜこのような変更になったのか、そしてEV技術の現状と課題について詳しく見ていきたいと思います。

理想と現実

欧州が掲げていた2030年までのEV完全移行計画は、最近になって撤回されました。この決定の背景には、以下のような要因があると考えています。3つあげます。

  1. 航続距離の制限
  2. 充電時間の長さ
  3. ガソリン車と比較した際の実用性とコスト面での課題

これらの問題点が、すぐに解決できそうになりとわかったのでしょう。当初の予想以上に解決困難だと理解したのだと思います。技術革新があれば確かに乗り越えられますが、技術革新は計画通りにはいきません。発明されても、量産化できないパターンもあり、実現には時間がかかるものです。

理想的な条件

EVがガソリン車と同等の実用性を持つためには、以下の条件をクリアする必要があるといわれていますが、同感です。不便さは乗り越えられません。現状と比較して不便になることを選択する人は少ないのです。人は「より快適」を求めているのが基本です。EVの理想的な条件を考えてみました。次の3点になります。

  • 航続距離:1000km以上
  • 充電時間:10分以下(理想は5分以下)
  • 価格:ガソリン車と同等かそれ以下

理想の条件を見るとわかりますが、現在のEVではギャップが大きすぎます。現在の技術ではこれらの条件を同時に満たすメーカーは出てきていないのが現実です。

日本メーカー

この状況下で、日本の自動車メーカーの動きは気になります。なぜなら、ハイブリット車が先行しており、世界で売れている。海外はハイブリット車をほとんど製造していない。そのため、余裕があるのです。余裕があるからEV開発に時間をかけられるのではないでしょうか。特に、全固体電池の開発から量産の実現は期待大です。この次世代バッテリー技術だと、航続距離の延長、充電時間の短縮が実現でき、理想の条件をクリアする可能性が高いのです。

展望

充電インフラの整備の問題も、新しい技術でクリアするかもしれません。新技術で注目は2つあります。

充電インフラ設置は広がっていますが、急速充電対応は少ない状況です。ペロブスカイトの技術は太陽光だけで充電が完了させられるかもしれないので、こちらも期待されています。

まとめ

EVの普及には、技術的な課題は依然として存在しますが、クリアする課題は見えているので、あとは時間の問題でしょう。ただ、いつまで時間がかかるのかはわからない。おおよその時間はわかりますが、確約できるものではないので、そこは待つしかないでしょう。実現したときには、大きな飛躍になると思います。

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