未来を実装

次の新作を発表した電気自動車メーカーのテスラ。今回の目玉は、自動運転+タクシーとなるタイプのバージョンを発表したことです。ロボタクシーと呼んでいます。現在、中国や米国では無人のタクシーがすでに走行しています。今回発表したテスラのロボタクシーは個人が購入し、使っていない時間帯にタクシーとして稼働させるコンセプトです。この構想は既に発表されていましたが、今回デモカーが50台準備されて、実際に動く形で発表されたのです。デモカーでは、次のような仕様になっていました。

  • ツーシーターの車
  • ハンドルはありません
  • ペダルもありません
  • 乗り込んでシートベルトをするとドアが自動的に閉まります

このあたりはシステマティックで合理的です。価格もテスラの中で1番安い価格帯で発売する予定で30,000ドルの予定です。日本円にすると4,500,000円前後です。

他とちがう部分

テスラ車の自動運転に関しては、他のメーカーとちがって特徴的なことが1つだけあります。他のメーカーの自動運転は運転のエリアが限られています。地図情報があるエリアしか自動運転ができません。テスラの場合はカメラだけを使用して自動運転をしています。映像認識で自動運転を完結させているのです。地図情報がないエリアでも自動運転ができるのです。この開発コンセプトのもとになっているのは、「人間は目だけを利用して運転しているのだから、カメラだけで自動運転が可能ではないか」という発想に基づいて開発されているのです。地図情報がないエリアがまだ広く残っているので、テスラの自動運転は大きなメリットとなっています。

自家用車をタクシーに

ロボタクシーに関しては、メリットがいくつかあげられます。所有者は自分が乗っていない時間帯に収益を上げることができるので、自動車を購入するハードルが下がります。500万円のクルマであっても、収益が上がる分は差し引いて考えることができるからです。

シミュレーションしてみましょう。実際に通勤時間しか使っていない人の場合は、
・1日に1時間から2時間しか車は使っていません
他の時間帯に稼働させれば、収益を上げる事は可能です。実際には5時間程度は昼間だけでも稼働させられる計算です。

ロボタクシーをタクシーとして利用する人にとってもメリットがあります。有人のタクシーと違って無人のタクシーは価格が下がると言われています。半額以下になったり
・1/3の価格
・1/4の価格
・1/5の価格
まで下がるかもしれません。そこまで金額が下がると、利用者は一気に増えることになります。自動車を保有する人が減少する可能性も高くなります。また、限界集落と呼ばれるエリアに住んでいる高齢者の方にとっても、大きなメリットになるのかもしれません。どんなに遠くても、ロボタクシーならば安くタクシーを利用できるからです。

便利・安価・短時間

新しい技術は、何でもそうですが、現在と比較して
1)便利になる
2)安価になる
3)短時間になる
ことが同時に実現されると、一気に普及します。電気自動車が普及しない理由は、充電に時間がかかることと、走行距離が短いことです。これもいずれ解決されるでしょう。ロボタクシーに関しても同様です。実際に日本でも認可されて、安価な価格設定が実現されれば普及するのです。課題として残るのは、無人自動運転タクシーの認可が日本でいつ認可されるかどうかだけの話です。そこに意外と時間がかかるかもしません。

まとめ、

新技術を見ると未来を感じます。ハンドルもペダルもない自動車は他のメーカーも取り組んでいました。iPhoneのアップルも自動運転カーに取り組んでいましたが結局撤退。実現しそうなのはテスラだけです。このような実装が速い企業は、ある程度リスクを取りながら進んでいます。そのため他は追いつけません。スタートアップ企業の方がシェアがないので、大きなリスクを取りやすいのです。シェアのある大手自動車メーカーは大きなリスクは選択しない傾向にあるものです。その点が見ていて興味深いポイントだと感じます。

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆