官僚主義とは
「企業が成長するにつれ、官僚主義がはびこる」と言われますが、なぜなのでしょうか。歴史がある企業も官僚主義になりがち。官僚主義とは、『新しいことを好まずに古くからの慣習を尊重する集団的な意識や行動様式』のこと。経験に基づいて判断するプロセスを重視しています。経験則が当たっている場合は問題ないのですが、当たらなくなったときには官僚主義の弊害が出ます。
事例
弊害が出るといっても、パターンはさまざま。どのような事象が官僚主義的な内容なのでしょうか。たとえば次のような事例があると思います。
大手小売チェーン店で、店舗ごとの柔軟な品揃えが提案されるも、全店統一管理の方針により却下されてしまった。結果、地域特性に合わない商品構成となり、売上が低迷。その後の挽回も時間がかかってしまった
優秀なエンジニアが革新的なプロジェクトを提案。しかし、社内の複数の審査や承認が必要で、実現までに時間がかかると告げられ、そのエンジニアはスタートアップへ転職。スピード感のない組織に魅力が半減。希望も見出せなかった
弊害要因
弊害要因を具体的に箇条書きにしてみます。こうして並べてみると、かなりの数になることがわかります。複雑系の課題であり、一度官僚的な組織になってしまうと解決するには時間がかかってしまうことが想像できます。
- 複雑な階層構造がある、階層が増加している
- 過度な承認プロセスを重視している
- リスク回避文化が普及している
- 情報の非対称性、情報の格差が組織内にある
- 責任回避の傾向がありリーダーが特に責任回避を主張する
- 部門間の対立があり、意思疎通に阻害がある
- 曖昧な決定基準により曖昧な判断がなされる
- 過去の成功体験への固執が失敗に導いてしまっている
- 過度な会議文化が時間を浪費させスピードを遅らせている
- 過剰な規則や手続きにより決定までの時間増加
まとめ
組織の問題は「コミュニケーション不足」と結論を出すことがありますが、実際には「官僚主義」が原因なこともあります。上位概念で課題を見つけなければ探すことのできない課題です。官僚主義に陥ると、スタートアップのような即断即決組織へ戻るには時間を要します。数年単位で時間がかかることもあり、時間投資を覚悟しなければならないと思います。
企業が成長するにつれ、官僚主義がはびこったり意思決定が遅くなったりする。だからこそ、スタートアップのような雰囲気作りが欠かせない
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO84168540X11C24A0BC8000/
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