自然法則から

自然法則は興味深い。そこに真理があるからです。今回取り上げるのは『エントロピーの法則』。エントロピーの法則は、簡単に説明すると『無秩序になればなるほど大きくなる』という法則。これだけですと、よくわかりませんが、この内容がビジネスにも応用できるので、解説していきます。

エントロピーの法則とは

エントロピー(entropy)とは、『熱力学および統計力学において定義される示量性の状態量』のこと。「乱雑さ」をあらわす物理量という意味付けをされた言葉です。エントロピーの法則とは

「モノごとは放置すると(ルールがないと)、無秩序・雑な・劣化する方向に向かい、自然的・自発的に元に戻ることはない(拡大し続ける)」

という表現でも用いられます。

身近な例で考えてみましょう。整理整頓されていたオフィスのデスク上も、時間とともに少しずつ散らかっていきます。
・整理整頓の定義がない場合
・整理整頓のルールがない場合
・整理整頓のスケジュールが組まれていない場合
には、戻ることなく散らかり具合が増加していきます。拡大していくのです。

これはすべて、エントロピーの増大を表しているようなもの。秩序がなければ拡大する、という真理なのです。秩序ある状態を維持するためには、秩序となるルールが必要なのです。

ビジネスにおけるエントロピー

このエントロピーの法則は、ビジネスの世界でも同様に働きます。ビジネスにおけるエントロピーの増大は、主に以下の3つの領域で顕著に現れます。

1)組織運営面

  • ルールのない業務プロセスは、プロセスが複雑化・肥大化する
  • ルールがない状態での部門間コミュニケーションは分断が拡大する

2)市場競争面

  • ルールのない競争は、モラルが低下し不毛な競争に陥る

3)顧客関係面

  • 顧客フォローがルール化されていない場合、顧客満足度は自然低下していく
  • 定期的なフォローがない状態が続くと関係性が希薄化していく
  • 顧客を放っておくとファンから離れていきブランドロイヤリティが弱体化する

これらの現象は、エントロピーの法則で解釈できると考えています。

経営へのヒント

エントロピーの法則が教えてくれる原則は、「何もしない」ことは必然的に「後退する」ことを意味するという点です。ルールがない状態や何もせず放っておく状態が続くと、乱雑が拡大していくのです。雑さが広がっていく、マイナスが広がっていくと考えていいでしょう。この点は、想像すれば理解できると思います。しかし、ルール化せず、無秩序で経営しているケースもあると思います。その部分を今後は改善していくのがここで学べる内容です。

まとめ

経営において、「放置すれば劣化する」という原則だと感じます。エントロピーの法則のように、放置すれば劣化が拡大する、と解釈していいでしょう。放置すると一定の劣化で終わるのではなく、際限のない劣化が拡大するのが原則だ、と思っておけば間違いありません。

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