知名度がなくても
「うちは規模が小さいから」「知名度がないから」そう諦めていませんか。実は、企業規模に関係なく、お客様の心の中で「選ばれる企業」になることは可能だと考えています。そのカギとなるのが「メンタルアベイラビリティ(Mental Availability)」という考え方です。
メンタルアベイラビリティとは
メンタルアベイラビリティとは、「お客様の記憶の中にどれだけ容易に思い出されるか」を示す指標。言い換えれば、「(購入時の)選択の瞬間に、あなたの会社が思い出されるかどうか」です。思い出す製品名や企業名は2〜3個程度。その中に入るかどうかがポイントなのです。
たとえば、お客様が「この問題を解決したい」と思ったときに、真っ先にあなたの会社を思い出してもらえるか。そこだけに集中する手法です。想起されるポジションを確保する戦略になります。お客様も広く知ってもらう、覚えてもらうのではなく、狭いジャンルにおいて絶対的な1位を狙う戦略なので、企業規模は関係ないのです。個人ブランディングでも可能だと考えています。
なぜ
どうして、このメンタルアベイラビリティが有効なのか。そこを考えてみたいと思います。時代は時間の経過とともに得られる情報量は増えています。Webの普及にともない爆発的に情報は増えました。Web上の情報も文字情報から画像情報、動画情報へと進化しています。最近ではショートムービーの時代になりつつあり、短時間で情報が凝縮されているほうが好まれています。タイパを優先する考え方です。こんな時代だからこそ、お客様の頭の中に製品名、企業名が想起されるよう記憶してもらうことに大きな価値が発生するのです。情報量が増えれば増えるほど価値は高まっていきます。
記憶に残る
記憶に残っている製品名を思い出してください。それは大企業の製品だけでしょうか。100%そうだとはいえないと思います。大企業の製品名が思い出される理由は多額の広告費用を長年投資しているからです。その中に、個人企業や零細企業の製品名も覚えているのではないでしょうか。自分の好きなジャンルの製品の中には、「こだわり」製品があるはずです。それは個人名で制作している場合もあるでしょう。このように、人の記憶に定着するには規模は関係ありません。
①興味の深さ、
②接する頻度
によって差が開いているだけです。
事例
事例を見るとわかりやすいと思います。下記の事例をあげておきます。
事例:建設会社
- 仮想の敵:「画一的な住宅」を販売する大手住宅メーカー。高額な住宅を販売しています
- メッセージ:「断熱にだけ異常にこだわる家づくり」と題して他では実現できないレベルを手頃な価格で提供
- 結果:断熱ならこの会社、と認知されるようになりました
戦略
メンタルアベイラビリティを進めるには、ある程度の戦略が必要です。この戦略立案が苦手な人がいますが、次のようなパターンで一度つくって見るといいでしょう。
1. 仮想敵
コンセプトを明確にするとき「仮想敵」を設定するとわかりやすくなります。顧客が疑問に思っていることを解消するために設定する仮想敵であり、無理に設定する必要はありません。よく事例で出されるのがEVメーカーのテスラ社の「化石燃料からの脱却」があります。これも仮想敵を設定しているのがわかると思います。下記ポイントから考えるとわかりやすいと思います。
- 業界の常識
- 非効率な慣習
- 解決されていない不満
2. 極端にとがらせる
ポジションを明確にするには、極端にとがらせることも考えておくといいでしょう。業界の細分化したジャンルに特化することもありますし、特定の人だけが困っている場合もあります。最近だと「経営者の睡眠」に特化したサービスが出てきました。眠れない、寝つきのわるい経営者だけに向けたサービスを提供している企業は記憶に残りやすいと思います。
- 「〇〇だけ」に特化
- 「〇〇以外お断り」
- 徹底的なこだわり
避けるべきこと
メンタルアベイラビリティを考えるとき、逆に避けるべき点もあります。中途半端な内容であったり、他のモノマネをすると意味がありません。2番手は記憶に残らないからです。そこは注意したいところです。
- 中途半端な主張
- だれもが言っているような表現
- 具体性のない抽象的な言葉
まとめ
メンタルアベイラビリティは規模に関係なく採用できる戦略なので、新規事業や新規製品においては考えてみる価値のある内容です。その戦略を軸にマーケティングを組んでいけば大きく外れることはないでしょう。
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