差別化できないところで

住宅ローンは各銀行で特色を出しています。なぜなら、特色を持たせない限り、単に金利競争になるからです。金利の低さを競争することになり、過当競争へと行き着いてしまいます。そのためか、最近では、ユニークな内容の住宅ローンも期間限定で出てきています。このようなアイデアは他の業界にとっても参考になる事例です。差別化するのに難易度が高いケースにおいて応用できるからです。

auじぶん銀行

auじぶん銀行が始める「預金連動型住宅ローン」を今回取り上げます。なかなかユニークな取り組みです。2025年1月からスタートする「預金連動型住宅ローン」は、すでに約18,000件もの申し込みを集める注目のサービスです。期間は限定で3年間ですが、スタートは良いのではないでしょうか。

預金連動型ローンとは

預金連動型ローンは、普通預金口座の残高増加額に応じて住宅ローンの金利分をキャッシュバックする新しいタイプの住宅ローンです。このサービスの最大の特徴は、預金の増加分と同額の住宅ローン元金について、適用金利が普通預金金利と同率になる点です。キャッチコピーも
・円普通預金残高の増加額に応じて住宅ローン利息の一部を3年間現金キャッシュバック!
となっています。「現金キャッシュバック」は反応率の高いキャッチコピーです。これなら応募は多くなるはずですね。

具体的な仕組み

具体的な内容は「ご契約者さまの配偶者および1親等以内の親族(最大5名まで)」の預金増加額に応じてキャッシュバックしていく仕組み。流れは下記のようになります。これなら、預金も集められるので、金利上昇局面においては金融機関にとって有効な取り組みなるでしょう。よく考えられた施策だと感じます。

  1. 預金残高の増加を測定
  2. 増加分と同額の住宅ローン元金に対して
  3. 普通預金と同じ金利を適用
  4. 結果として、預金利息と住宅ローン利子が相殺される

注意点

今回は、ビジネスアイデア、サービスアイデアの発想として参考になるので取り上げました。この商品をおすすめしているわけではないのでご注意ください。差別化ポイントがないところに、新しいアイデアによるサービスを追加することで、顧客を増やす施策として興味が出たので取り上げた次第です。

まとめ

すでに多くの申し込みがあることからも、このサービスへの期待の高さがうかがえます。他行もマネをしてくるのではないでしょうか。現金キャッシュバックできるサービス内容を考えたことが今回の勝因になっていくでしょう。人が反応する、申し込みたくなるポイントをよく理解した人が考えた内容だといえると思います。あくまでも参考にどうぞ。

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