ビジネスモデル

技術力の高い製造メーカーと販売力のある量販店の提携。お互いの強みを活かす戦略提携です。事例をもとに解説していきます。

ノジマとVAIOのケース

事例のひとつが、家電量販店のノジマによるパソコンメーカーVAIOの買収。そうなるか、と感じました。VAIOは元々ソニーから独立し、高い技術力を活かして独自の路線を描いていました。しかし、販売力に限界があったことが、この提携の重要な背景となったのではないかと推測しています。家電量販店も独自の商品を販売したいという願望があります。メーカーを傘下に入れれば、オリジナル仕様の製品を販売することができ、値引き競争から抜け出すこともできるのです。市場における競争が激化する中、技術力と販売力の融合は、両社にとってメリットのある選択だったといえるでしょう。

両者にとってのメリット

この提携による両者のメリットは明確です。書き出してみます。

製造メーカー(VAIO)側のメリット

  • 安定した販売チャネルの確保
  • 量販店の持つ顧客データや市場動向の活用
  • スケールメリットによるコスト削減
  • 初期ロットを販売できると開発しやすくなる

量販店(ノジマ)側のメリット

  • 独自製品による市場での差別化
  • 値引き競争からの脱却
  • より高い粗利率の実現
  • 商品開発プロセスへの直接参加

業界における同様の動き

このような協業は、ノジマとVAIOの事例だけではありません。もともとヤマダ電機は日本メーカーからのテレビOEM調達をしていました。オリジナルのテレビを販売していたのです。他で販売していない仕様のテレビを売ることができたのです。ノジマの動きもヤマダ電機と同じだと感じています。

なぜ今、このトレンドが加速するのか

このトレンドが加速する背景には、メーカー側と量販店側双方の課題があります。メーカー側は収益性の低下に直面し、新たな販路開拓と開発投資の効率化を必要としていました。量販店側は利益率向上への強いプレッシャーを感じ、ECサイトとの競争激化に対応するため、独自性の必要性に迫られていたのです。

今後の展望

この流れは、単なる一時的なトレンドではなく、家電業界における構造的な変化を示唆しています。製造と販売の融合は、今後も、技術と販売のシナジーを求めて、同様の提携やM&Aが増えるでしょう。

まとめ

ノジマとVAIOの事例に見られるような製造と販売の融合は、選択肢を広げ、可能性を開くものです。経営の決断としては良い内容ではないでしょうか。競争の激しい市場ほど、このような動きが活発になるでしょう。

——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆