ちょうど時期なのか
日本企業の組織構造において、「30代の不在」が目立ってきたようです。ある支店に伺ったとき、年齢構成を確認すると、20代1人、40代1人、50代3人という年齢構成でした。この事例は、決して特異なケースではなく、組織の構造的な課題を象徴するものといえます。
実際、企業や部署における30代人材の充足度に関する調査では、「やや不足している」「かなり不足している」と回答した割合が67%に達し、3分の2以上を占めています。この数字が示すことは、組織の持続可能性の観点から、看過できない問題になるでしょう。考えてみれば当然なのですが、年齢層に欠けがある場合は、どうしてもノウハウ継承やスキル継承に問題が生じてしまうのです。
組織への影響
30代の不在は、単なる人員構成のひずみを超えて、組織の課題になるはずです。最近、大手企業でも「故障で停止」が多いと思いませんか。鉄道会社は停止が公表されるのでわかりやすいです。電気系統のトラブルで運行停止など以前より増えているように感じます。他でも同じようなことが発生しているのではないでしょうか。組織の人員構成のひずみは、次のようなことを引き起こす可能性があるのです。
- 知識継承システムの機能不全
- 世代間コミュニケーションの断絶
- 若い世代が質問ができない雰囲気
解決への道
この状況を解決しなければなりません。アプローチ方法はオーソドックスな手法だと次のような内容になります。
1)中途採用の戦略的強化
- 30代をターゲットにした採用施策の展開
- 柔軟な勤務体制の整備による人財誘致(休日の設定はポイントです)
2)既存スタッフの育成・定着
- スキル、ノウハウを残す仕組みづくり
- 能力開発プログラムの開発、提供
- ワークライフバランスを重視した環境整備の制定、利用しやすい組織風土
3)新しい組織モデルの構築
- 役職や年齢に依存しない柔軟な配置
- デジタルツールを活用し短時間で可能な知識移転の仕組み
- 多様な働き方を認める組織文化の醸成
今後
この課題に対する企業の取り組みは、単なる人数の確保ではなく、組織の持続的な成長を支える人財が定着してくれるという観点から検討されるべきです。一朝一夕には実現できない変革かもしれませんが、これは持続可能な組織づくりのための重要な投資として位置付けられるべきでしょう。
まとめ
30代不在という現象は、日従来の組織構造や人財に対する考え方を根本的に見直す機会を提供しているのかもしれません。この課題への取り組みが、結果として、より柔軟で創造的な組織への進化を遂げる契機となるのではないかと感じています。
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