キープ・マーケット・ハングリーとは
ビジネス環境において、特定の企業が採用している「キープ・マーケット・ハングリー」戦略という手法があります。この戦略は、意図的に市場の需要を高く保つことで、ブランド価値を最大化する手法として注目されています。需要と共有の調整をしたり、市場には買いたい製品がほとんどない状態を意図的に作って、ハイブランドをキープする手法になります。
具体的手法
この戦略の本質は、市場の需要に対して意図的に供給を抑制することにあります。これにより、商品やサービスへの期待感を維持し、ブランドの価値を高めていきます。単なる品薄商法とは異なり、綿密な計画に基づいた総合的なマーケティング戦略になります。ブランド価値を維持する手法でもあり、広く用いられています。
成功事例から学ぶ
身近なところから、ハイブランドまで、キープ・マーケット・ハングリーを用いています。ヒットしている店舗は、いつも並んでおり、途中で「品切れ」になることがほとんどです。「次の入荷は・・・になります」と表示してあり、需要を喚起しています。あるお菓子店舗は午後のある時間になると棚の製品がなくなるのが、分かったことがあります。棚にない状態のときに問い合わせても「在庫はありません」と言われてしまいます。その直前まで、数多くの在庫があった場合でも、そのようなことが起こっていました。偶然なのか、意図的なのかわかりませんが、いつも夕方には品切れになっています。それだけ売れているのでしょう。
ハイブランドの事例
世界的な高級ブランドは、いつもキープ・マーケット・ハングリーの状態になっています。新規で購入しに行っても買えない場合もあります。あるブランドのバッグは、この戦略の代表例です。購入には1〜2年の待ち期間が必要で、新規顧客への販売も制限されています。にもかかわらず、その価値は年々上昇し、中古市場では新品以上の価格で取引されることもあります。
高級時計ブランドも、特に人気モデルの供給を徹底的に管理していると言われています。製造に時間がかかることもありますし、一度の大量に供給できない事情があるのでしょう。スイスの高級ブランド時計は、過去に日本のクオーツ時計が出てきたときに、数多くの企業が経営をやめました。その中で残ったのは高級路線の時計メーカーだけです。この事例は今後の日本を表していると感じます。
地方でも
このような事例を出すと、自分たちは関係ないと思いがち。しかし、日本でも今後はキープ・マーケット・ハングリーが基本になります。地方でもそうなります。10年、20年かけて、人口構造も人口集中エリアの変更も発生し、ビジネスの手法も変化するからです。給与はどのエリアでも上がっていくことは避けられそうにありません。それを前提としたビジネスモデル構築しかないと考えておいた方が良さそうです。
まとめ
キープ・マーケット・ハングリー戦略は、単なる供給制限ではなく、働くスタッフを幸せにする「ビジネスモデル」と考える方が得策。値段を上げるのではなく、高価格でも買っていただけるサービスや製品を今後は考えておくことなのです。特に、ブランド構築と関係ないと考えている業界ほど、必須になるでしょう。分かっている企業から差別化できるようになります。今後はそのような事例が出てくると思います。
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