転換するのを明言
トヨタ自動車が自己資本利益率(ROE)を現在の10%から20%に引き上げる方針をメディアに流しました。扱いとしては小さな記事ですが、内容としては今後の方向性として大きな転換を表現していると感じます。単純に自己資本利益を2倍にするには簡単なことではありません。将来の自動車業界がそのようになっていくだろうと予測したのです。なぜなら、テスラなどの電気自動車メーカーは2つの点で業界をブレイクスルーしているからです。
①製造、工程におけるコストダウンの進化が著しい(ギガキャストなど導入)
②ソフトウェアの収益が増えている
の2つです。
2つのポイント
日本の自動車メーカーも、この2点を追いかけなければならないのです。トヨタ自動車を始め、他のメーカーも製造工程のコストダウンに取り組んでいます。ギガキャストの導入も進んでいます。ただソフトウェアの収益に関してはこれからになります。テスラの自動運転は有名ですが、自動運転のプログラムに関しては月額支払いのサブスクと買取に分かれています。月額の支払いですと99ドル、日本円で15,000円位。買取ですと15,000ドル日本円で2,000,000円以上します。これが自動車の販売とは別の収益として計上されているわけです。単純にスマホのようにアプリを販売してると考えればわかりやすいのではないでしょうか。とても便利なアプリが提供されており、お金を支払ってでも手に入れたいアプリになっているわけです。テスラ以外の自動車メーカーも同じようなビジネスモデルに移行していくでしょう。業界が製造業という範疇から移動することになるのです。
ギガキャストとは
自動車の大きなアルミニウム部品を一度に鋳造する技術
https://www.icom-giken.com/blog/gigacast_cobot
しかしここは
トヨタ自動車などもソフトウェアの開発は進んでいます。しかし、自社開発のテスラと違って、外部に委託している部分があるため、ソフトウェアの面においては遅れるのではないかという専門家の指摘もあります。外部に委託することで
・開発スピードが遅い
・レベルが上がらない
と予想されているのです。これをどのように解決していくかが注目されているのです。
収益率の常識が変わる
今後は、企業経営において値上げと収益率が競争のポイントになってきます。業界の平均値も変わるのではないでしょうか。業界平均の利益率なども上昇していくと予想できます。そうなると、
・値上げしても買いたいと思わせる製品開発
・値上げしても頼みたいサービスづくり
が求められます。結局のところ、高収益な体制作りも企業の存続に関わってくるわけです。
まとめ
1年前と違って、急に自動車業界が騒がしくなってきました。ただ、長い目で振り返ってみると、開発の方向性が成功したか、失敗したかに見えてきます。調子の良くない自動車メーカーの幹部が、「ハイブリッド車の普及が電気自動車の普及を妨げた」とメディアのインタビューで答えています。ハイブリット車のせいで自分たちの製品普及が遅れたと言いたいのでしょう。しかし、それを言ったところで、業績が変わるわけではありません。時代や環境に追随するしかないのです。
——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆