はじめに
ビジネスには参入障壁があります。参入障壁があれば新規参入が少なく、市場シェアを維持しながら収益性を高めることができます。そんな参入障壁には、見えやすい障壁もあれば、気がつかない巧みな障壁も存在しています。そんな参入障壁について今回は深く考察していきます。5つの障壁を取り上げますが、その障壁を自分のものにすることで、強固なビジネスモデルとなっていきます。具体的には
1)政府の規制
2)規模の経済
3)製品の差別化
4)仕入先を変更するコスト
5)流通チャネルの確保
の5つになります。
具体例を用いて
具体例を用いて、それぞれの参入障壁の特徴を記していきます。
1. 政府の規制
政府による法的規制は、新規参入者にとって大きな障壁となります。認可や許可、資格などが障壁になります。取得の条件があるので、すぐに取得できないケースがあります。その分、参入障壁となるのです。また、これらの規制は公共の安全や消費者保護のためでもあります。
- 金融業界における銀行免許の取得条件や資本金要件
- 航空業界の運航許可や安全基準
- 建設業の許認可
2. 規模の経済
生産量が増えるほど単位あたりのコストが下がる「規模の経済」は、大規模な既存企業に有利に働きます。コストリーダーシップと呼ばれる存在です。規模が必要になるほど、参入障壁が大きくなります。ここに対応するために、新規参入者は初期から大規模生産を行うか、高コストで小規模生産を行うかという難しい選択を迫られるのです。
- 自動車製造業における大量生産システム
- 半導体製造の巨大な設備投資
- 小売業におけるサプライチェーン最適化と大量仕入れによる交渉力
3. 製品の差別化
企業が長年かけて構築したブランド価値や顧客ロイヤルティは、新規参入者が短期間で模倣するのが困難です。また開発期間がかかる製品に関しては、製品自体が差別化されており、参入障壁になります。新規参入者が対抗するためには、時間をかけるか、宣伝コストをかけていくしかありません。
- アップルの製品とブランド価値
- コカ・コーラの長年にわたるブランド
- ディズニーのキャラクターIPとテーマパークの顧客体験
4. 仕入先を変更するコスト
顧客が既存のサプライヤーから新規参入者に切り替える際のコストや手間が大きいほど、参入障壁は高くなります。スイッチングコストが高いほど参入障壁になるのです。切り替えるときに膨大な手間がかかるものや、切り替えるときに時間がとてつもなくかかるケースがそれに当てはまります。
- 企業向けソフトウェアの乗り換えに伴うデータ移行や操作の再教育コスト
- 工場の生産ラインで使用する機械設備の変更コスト
- 法人向け銀行サービスの口座移行と取引先への通知
5. 流通チャネルの確保
企業が確立した流通経路はそれ自体が参入障壁です。販売網であったり、顧客への直ルートは他が入ってこれない領域。新規参入者が構築するには、時間とコストがかかるため参入の難易度が高いのです。
- 独占的な販売代理店契約
- オンラインマーケットにおける露出獲得の難易度
- 業界の全国販売網や個別配送網
まとめ
継続してシェアを確保している企業分析をするとき「参入障壁は何か」という視点で見るようにしています。表面に出ている参入障壁だけでなく、隠している参入障壁まで調べたいと思っています。そのカギがわかったとき、ビジネスモデルの解析が進みます。強い企業の理由がわかるのです。企業規模に関係なく、強さを持った企業には「参入障壁」が必ずあるものなのです。それが、時間をかけて構築されたものなのか、コストをかけて手に入れたものなのかを見極めていく作業です。
(下記動画は上記文章をAIで読み上げさせています。人の動きもAIが自動生成しており撮影はしておりません↓)
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