トリプル安になるところだった
米国政権が世界中を巻き込んでいますが、関税発動した後のことを米国政府は、次のように考えていたのではないでしょうか。
→株価下落:想定通り
→為替ドル安:想定通り
→原油安:想定通り
ここまでは想定通り。しかし、
→債券安:想定外・・・
米国債の金利が急上昇してしまい、慌てたのではないでしょうか。
さて、どうする?、というタイミングでした。その後13時間で「相互関税(上乗せ部分)の90日停止」をいきなり発表。いったん落ち着きました。そのまま進んでいたら、「株安、ドル安、債券安のトリプル安」になるところだったのです。「朝令暮改」の事例になるような動きでした。
株安・ドル安に加えて債券安のトリプル安は、2022年の「トラスショック」と同じパターンで、金融危機をまねくおそれがある
https://agora-web.jp/archives/250409081946.html
交渉のセオリー
今回のことを見るとわかることは
・経済学や過去の経験をベースに計画、決断していない
・交渉の場として関税を考えている
ということです。そのため、交渉の初期段階として、思いっきり「ハードオファー」を投げかけたのです。それが行き過ぎていたので、停止を発表しました。交渉としては結果が出ていませんが、初期段階としては「成功」だと感じます。米国の姿勢が「本気」であることが諸外国に伝わったからです。このあたり、初期段階で「圧倒的なオファーを出す」のが得意技のようです。
ちなみに、今回停止した相互関税は上乗せ部分のみで、基本関税の10%はそのまま。米国が10%の関税をかけたのは、実に70年以上ぶり(平均関税率と比較)。上乗せ部分が大きい数値だったので、上乗せ部分が停止されると、過去70年間の中で最高の関税10%になっているのに、それが低い数字に見えてくるから不思議です。これも狙いだったのかもしれません。
まとめ
とにかく、発生したことを並べて振り返るとわかりますが、文脈もなければ、根拠もない状態。何を目的としているのか判然としません。しかし、米国の状況がかなり厳しいことはわかります。ハードなオファーを出すほど良くない状況が今後あるのです。2025年は米国債の償還が多額になる年。借換債の発行が8兆ドル、国債の利払いが1兆円超となるようです。それを手配する必要があるのです。そのために、なりふり構わず施策を打ち出している状況なのでしょう。今後も続きそうです。
(下記動画は上記文章をAIで読み上げさせています。人の動きもAIが自動生成しており撮影はしておりません↓)
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