過去の栄光だけでは未来は創れないのか

変化の時代と「OBの話」

企業のOB・OGやベテランスタッフが語る経験談。それは、長年にわたる試行錯誤や成功・失敗から得られた、組織にとって貴重な財産。その言葉に耳を傾け、先人たちが築き上げてきた歴史に敬意を払うべきだと感じます。しかし、その一方で、私たちは冷静に考えなければなりません。OBの話を聞くだけで、本当に会社の未来を切り拓く新しい経営施策が生まれるのか。
結論から言えば、残念ながら、それほど甘いものではありません。

ノスタルジーなのか

もちろん、先人たちの知恵や経験には学ぶべき点が多くあります。特定の分野における深い洞察や、困難を乗り越えたエピソードは、ヒントを与えてくれます。しかし、気をつけなければならないのは、その話が「ノスタルジー」に陥ってしまう危険性です。「昔は良かった」「あの頃のやり方なら成功したのに」といった感傷的な思いは、時に現実的な課題解決の目を曇らせてしまいます。

ビジネスを取り巻く環境は、常に変化しており、市場のニーズ、技術の進歩、競争環境、人々の価値観は変わってきており、かつての成功法則が、そのまま現代に通用するとは限りません。むしろ、過去の成功体験の幻影を引きずっていては、変化への対応が遅れ、組織の再建はおぼつかなくなるものです。

弊害

過去の成功体験にとらわれることには、具体的に以下のような弊害が考えられます。

変化への抵抗感
新しい市場環境や技術への適応を拒み、旧来のやり方に固執してしまう
イノベーションの阻害
「昔はこれでうまくいった」という考えが、新しいアイデアや挑戦的な試みを妨げる
現状維持バイアス
リスクを恐れるあまり、現状維持を選択しがちになり、成長の機会を逃す
組織の硬直化
若手や新しいメンバーの意見が通りにくくなり、組織全体の活力が失われる

大切なのは、先人への敬意を持ちつつも、過去の成功体験を絶対視しないことです。それらを「歴史」として学び、参考にする。しかし、最終的な意思決定は、現在の状況を冷静に分析し、未来を見据えて行う必要があります。