8割が不適切
日本経済新聞社の調査で、経済学者の85%が一時的な消費税減税を「不適切」と回答しました(「全くそう思わない28%」「そう思わない57%」)。一見すると減税は税負担が軽くなるので、景気対策として良い政策に思えますが、専門家がこれほど反対するには根拠があるのです。今回はその理由を見ていきたいと思います。
今の日本経済に一時的な消費税減税は必要なのか。16~20日に経済学者47人に尋ねたところ、「全くそう思わない」(28%)「そう思わない」(57%)の割合が計85%に達した。
一時的な消費減税「不適切」85% 恒久化懸念:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO88866810T20C25A5MM8000/
市場の反応はどうなるのか
減税すると国の税収が減ります。企業でいえば収益が下がることになります。これは、国の財政にとってはマイナス。また、現在日本の国債の金利が上昇している中で、大型減税をすると、さらに国債が売られることになり、金利が急上昇することになります。英国のトラス政権のときに、減税からの金利急上昇が発生し、トラス政権が短命に終わりました。同じような市場の反応が発生することを警戒しているのです。
財政悪化とみなされたら
以前のような低金利が続いているときなら、減税による金利上昇が発生しても吸収できる範囲だったかもしれません。しかし、現在の状況から見れば、減税よって市場(海外)から日本の財政は悪化すると判断されると厳しい局面を迎えてしまいます。金利上昇だけでなく、通貨にも影響が出て、最終的にはインフレが激しくなるのは予想できるシナリオです。
まとめ
専門家は同じようなことが他国で発生したケースがあると、その政策は「不適切」だと判断します。再現性を感じるからです。市場の反応は同じようなことが発生するとみなすのです。減税が良くないと言っているわけではなく、現在の経済環境において減税できる余裕がないと判断したほうがいいでしょう。国内の財源が調達できたとしても市場(海外)からの判断は別の結果になることがあることはここでは覚えておきたいポイントです。
(下記動画は上記文章をAIで読み上げさせています。人の動きもAIが自動生成しており撮影はしておりません↓)
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「全くそう思わない」と答えた米プリンストン大の清滝信宏教授(マクロ経済学)は、短期的な景気対策より財政の持続可能性を重視する。「消費税を減税すると、元の水準に戻すのが難しくなり財政再建が遠のく」と減税を問題視した。