本音が見えてくる
厚生労働省の最新データが示す現実は、なかなか複雑な状況。名目賃金は上がっているのに、物価上昇がそれ以上に上がっているので、実質賃金は4か月連続でマイナス。働く人の生活実感と、企業の頑張りが噛み合わない現象が起きています。
数字で見ると
4月の現金給与総額は
・30万2453円
と前年同月比2.3%増。基本給も
・26万9325円
と2.2%上昇しました。40か月連続のプラスという結果は、エクセレントな内容です。しかし、物価を考慮した
・実質賃金は1.8%減少
になってしまいます。つまり、この数字から分かることは、給与は上がったけれど、物価の方がさらに上がっているため、実質的に生活は楽になっていないのです。
体感インフレの深刻さ
日銀によるアンケート調査、2025年4月公開の内容によると、体感値上がり率は平均19%、中央値10%になっています。実際の物価上昇率を大きく上回る感覚を、多くの人が持っている状況がここからわかります。食品の値上がりやガソリンの値上がりが体感として大きいのではないでしょうか。毎日の買い物で感じる値上がり感と、給与明細の数字のギャップ。このズレが、影響し始めています。
外食を控えたり、洋服の購入も抑える動きが出ています。『最近、何買った?』という会話がなくなった、と言っている人もいます。その感覚、なんとなく分かるのではないでしょうか。メディアでも、「節約」「激安」が話題になる時期に来ているのです。3斤の食パンが270円と話題になっているのも目にしました。このマインドが広がると消費は減退していきます。
物価を抑える施策になるのか
物価が上がっているとき、物価上昇を抑制するために日銀が金利を上げていきます。次回、0.25%金利を上げるのではないかと推測されています。逆に対応が遅れると物価上昇が激しくなる可能性もあります。タイミングよく金利上昇によって物価を抑制できるかが今後のポイントになります。
まとめ
消費は雰囲気によって左右されます。節約の雰囲気が出ると、消費は減退していきます。買い控えも発生しやすくなります。買い控えや消費の回避は、順番が決まっています。①外食、②衣服・靴、③旅行、④塾・習い事・映画・遊園地、⑤書籍・新聞・雑誌、⑥通信費、といった内容になるのです。そこに関連する業界は影響をすでに受けています。今後の流れも注視しておく必要を感じます。
実質賃金 4か月連続マイナス 物価上昇に賃金の伸び追いつかず
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250605/k10014825751000.html
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