大屋根リングの再利用率
大阪万博の「大屋根リング」。木造建築物としては大規模。予算も300億円を超える(340億円)。比較としてスカイツリーの費用と同じくらいと言われています。この「大屋根リング」は万博終了後に木材再利用されるのが、
・8%
だとわかりました。そのほかは、
・チップに粉砕
して、熱源として使うようです。捨てることはないので、チップも再利用のひとつです。しかし、燃やしてしまうと1回で終わり。木材として再利用される場合は、建造物などに利用されれば何年も木材を活用できます。再利用の考え方によって違いはありますが、できれば利用できる年数が長い方が資源を大切に扱っていることになるでしょう。そう感じました。
法定の価値年数
木造の建築物は想像以上に利用できる年数が長い。長期の建造物としては、奈良の法隆寺が有名ですが、1300年以上の年月が経っています。朽ちることがなければ超長期で利用することができるのです。このような宮大工の建築物の場合、建てる前に山に木材を仕入れに行きます。伐採する前にどの部材に利用するのかを決めるのです。木は育つ環境によって、個性が出ます。その個性を建物のどの部材に利用するかを決めてしまうのです。そのため、長期的な乾燥に対して、木材の伸縮の方向性を建築強度に利用することができるわけです。
その一方で、木造建物の法的な耐用年数を見てみると、法定耐用年数は
・22年
になっています。そこまでは価値が残る計算です。ただ、個人用の住宅に関しては、13年から15年経つと価値はほとんど残りません。建物としては22年以上も使えますが、売却するときの価値が低いことは問題のひとつです。
余裕がなかったのか
再利用まで考えて設計するのがベストですが、万博においては、時間の猶予もなく、締め切りが迫っていたのでしょう。余裕がなかったのではないかと想像しています。そんな中で、「完成させること」が最大のゴールであったのではないでしょうか。再利用まで考える、時間も予算もなかった結果が再利用8%だと感じます。
まとめ
今回は国産の木材を利用する予定でしたが、結局のところ外材も利用されています。ほとんどが集成材であり、木造建造物といっても現代のつくり方になっています。大規模で話題にはなっていますが、建築家の方の意見を聞いても、「見てみたい」人もいれば、「興味なし」とはっきりする人もいます。それぞれ、考え方が違うので、どちらも意見として正しいのでしょう。
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