原油輸送費急騰
中東情勢緊迫化。2025年6月、イスラエルのイラン攻撃により中東情勢が緊迫化しました。いったん落ち着いたように見えますが、何が発生するのかはわかりません。現在、わかっていることといえば、原油輸送費が高騰です。影響が出てくるでしょう。この状況から、何も発生しない方が良いのですが、ここでは日本経済に与える影響を先回りして考えてみます。
日本の構造的脆弱性
日本は原油輸入において海外に依存しています。国内で原油を産出していません。その中でも、中東に極めて高い依存をしています。
- 原油輸入の9割が中東から
- 輸入依存度は99%
この極端な依存構造により、中東の「くしゃみ」が直接日本に影響することは簡単に理解できるのではないでしょうか。参考のために、石油備蓄について考えておきます。現在、日本の石油備蓄は240日(8ヶ月)あります。その内訳は
・国家備蓄:138日
・民間備蓄:93日
・産油国共同備蓄:9日
となっています。(資源エネルギー庁資料)https://www.enecho.meti.go.jp/
石油備蓄に関して、民間備蓄の割合が4割あることに気がつきます。国の備蓄は全体の6割程度しかないことは覚えておきましょう。
過去の教訓からわかること
1970年代に石油危機(オイルショック)が発生しました。原油の価格が急に上がったのです。もっとも激しいところでは、3ヶ月で4倍にまで原油が上昇してしまったのです。そのため、数年間で物価も急上昇しました。毎年、10%から20%の物価が上がり続けたのです。数値だけを見ても激しい時期だったのがわかります。また、当時の公定歩合は、「9%」でした(1973年12月)。金利の水準も高かったことがわかります。
まとめ
中東の影響で、原油輸送費が上昇すれば、日本のインフレ圧力になるでしょう。原油の価格上昇も同じ影響が出ます。1970年代のオイルショックのようなことは発生しないことになっているので、リスクは少ないでしょう。しかし、リスクはゼロになることはありません。8ヶ月分の備蓄がなくなったときのシナリオは想像したくないですが、気にしておきましょう。
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