QT加速

現在、日銀は、元総裁のツケを解消しようとしています。異次元緩和のツケを時間をかけて解消しようとしているのです。「量的引き締め(QT:Quantitative Tightening)」と呼んでいます。これがだんだんと強くなってきました。密かにQTを加速させようとしています。そうしなければ、健全な形に戻らないからです。ただ、加速させたところで、解消まで数十年単位で時間がかかるでしょう。

振り返ると、異次元緩和はマネーの量を増やすとインフレが発生するという名目で実施されました。しかし、マネー量が増えても、インフレは発生しませんでした。なぜなら、金融機関が貸し出す量が増えなかったからです。マネーが増えても、市中にマネーが回らなかった現象です。金融機関も貸し出す先が増えなかったのです。

理論上はマネー量の増大によって、市中のお金も回るようになり、インフレ(経済活性化)が起こるはずでした。しかし、実態は違っていたことがわかります。お金の量だけを増やしても次の課題ができてしまったのです。

理論通りのプロセスで

現在の日銀総裁はもともと学者なので、正常化に向けたプロセスを理論通りに行うと推測されています。日銀の判断も行動もその理論通りに動いていると感じます。セオリー通りであり、違和感がありません。そのあたりはスマートな対応だと思います。慎重なときは慎重過ぎるほどです。

今後も、セオリー通りの動きをしてくると想像しています。ツケの解消は大変なプロセスであり、難易度は高い。これをどのように解消していくのか、今後の判断も注目しています。奇抜な解決方法はないので、予想される解決策をどの順番で繰り出してくるかを見ていくことになるでしょう。

まとめ

QTのとき、金利上昇が懸念されています。その懸念は現実となっており、金利の動向は目が離せません。金利は景気実態より先に動くので、金利の動きから将来が推測できるのです。金利が上昇すれば、お金の貸出金利も上昇し、最後には、コストアップにつながります。時間をかけて景気が後退することになります。時間差はありますが、金利が動けば最終的には企業経営にも影響が出ることを避けることはできません。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆 from2011