経済的損失5000億円規模

たしかに、6月中旬から東京エリアのビジネスホテルの料金が下がりました。金曜日などの週末も金額が上がっていなかったのです。ダイナミックプライシングが定着しており、インバウンドが多い時期になると、通常の2倍以上に跳ね上がるはず。それが、ピークより下がっていると感じたのです。調べてみると、香港、台湾からインバウンドが激減。理由は、ある噂でした。2025年7月5日に大災害が発生するという噂がオンライン上で広がったためです。これにより、経済的損失は5,000億円以上になったと計算されています。(野村総合研究所)

根拠がなくても

人はエビデンス(根拠)がない情報は信じない、とされています。しかし、今回は根拠がない情報が広がり、それが人の行動まで影響した事例になります。「本当だったら・・・」と考えてしまうのが人間。根拠がない情報であっても、万が一のことを考えると、行動自粛になるのです。まわりからも
・やめた方がいい
・行かない方がいい
・リスクがあるから
・そこまでして行かなくても
と言われると弱いものです。そこまで言われるなら、やめておく、となるでしょう。こうした需要減は6月から8月か9月まで続くと予想されています。

動画で何度も

このような噂の動画は視聴回数を稼ぐことができます。そのためか、何度も同じような内容で動画がつくられていました。そのため、海外へも知られることになり、情報の拡散力が大きいことが証明された形になっています。海外のSNSでも数多く取り上げられることになったのです。

この影響は
・航空便の減便
・ホテル旅館の稼働率低下
へつながっています。想像以上の影響力があったといえるでしょう。

まとめ

今回の事例について、意見があるわけではありません。噂が発端で、情報が拡散し、人の行動に影響が出る事象が発生したことを認識したいだけです。これは、大災害の噂以外でも発生する可能性があるからです。現在は、認知戦の世界になっており、情報によって方向性が決まってしまう時代なのです。そこだけは認識しておきたい部分です。自分だけは冷静になって、客観的な判断ができるように日頃から訓練しておきたいと改めて感じました。

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『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』運営執筆藤原毅芳(fjコンサルタンツ) from2011