実態は明らかだが、その背後を問う

貨幣の量が増え、半導体・AI関連の株価が急騰しているのは、現実の姿です。米国における量的緩和はまだ続いています。日本は、結局のところ「QT」がほとんど進まない。今でも、世界中でマネーが拡大していると判断しています。その資金が「未来の技術」に集中しているのは理解できるところです。特にNVIDIAの株価は、上昇しました。これは単なる「市場の反応」ではなく、マネーがどこに流れるかを決める「心理的シンドローム」 が働いているともいえるのではないでしょうか。

「AI神話症候群」人がマネーを動かす

「AIが人類の次なる進化をもたらす」という思い込みは、もはや「期待」ではなく「信仰」に近い。投資家たちは、AIが「すべてを変える」と信じ、半導体メーカーに資金を集中させています。AI用のサーバー構築に多額なお金が流れています。AIは確かに普及していきますが、
・どこで採算が取れるのか
は、まだ見えていません。現在の料金設定で果たして黒字になるのか。そこは誰もわかりません。おそらく、AI企業は、AIで収益を上げるのではなく、ブラウザや検索の領域を狙っていると思います。AIによる検索が増えているので、そこで広告収入を得ていくでしょう。今のところは、熱狂が先走っていると感じる部分があるので、投資に関しては、どこかで冷静な局面が出てくる可能性を感じています。

「今回は違う」シンドローム

従来のバブルは「金利が低いから株価が上がる」と説明されてきました。しかし今、マネーの増加は「結果」で、原因は「心理」 です。AIへの過剰な期待、半導体の「戦略的価値」への再評価、そして「みんなが買っているからわたしも」という群衆心理が渦巻いています。

「今回は違う」と言っている人もいます。これが、バブルの要因だと後から言われるのかもしれません。

まとめ

バブルは、お金の量で決まるわけではなく、最終的には、「人の心理」で決まります。今回は「状況が違う」「環境が違う」と思いたくなる傾向が出てくるのです。マネーの増加は事実ですが、それを半導体・AIに集中させたのは、AI信仰(サーバー信仰)、FOMO、といった「シンドローム」 です。今は「人の心」を読み解くことから始まるのかもしれません。

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