表面的な評価の裏側にあるもの

人の能力や全体像を語る際によく、「見えているのは2割、見えない部分は8割」という言葉を使います。これは、海に浮かぶ氷山にたとえるとわかりやすいでしょう。水面上に見えているわずかな部分(約2割)は、他者から直接的に評価される部分です。たとえば、仕事での達成、プレゼンテーションの上手さ、明るい性格など、目に見える成果がこれにあたります。

一方、水面下に隠れている大部分(約8割)は、目には見えない内面的な要素。これには、地道な努力、過去の失敗経験、培ってきた価値観、思考パターン、そして潜在的な能力が含まれます。他者の評価は、この「見えている2割」に基づいて下されることがほとんどです。そのため、本人の努力や内面の葛藤が正当に評価されないと感じることも少なくありません。しかし、その「見えない8割」こそが、あなたの個性を形作り、表面的な成果を支える土台だと感じています。

見えない努力が自信を育む

「見えない8割」を意識することは、自己肯定感を高めるうえで非常に重要。まわりから評価されなくても、自分自身の努力や成長を認識できます。資格取得に向けた日々の勉強、新しいスキルを身につけるための試行錯誤、人間関係を改善するための振り返りなど、他者には見えない数々の努力が、揺るぎない自信につながります。自分を信じ続け、そこから発生する自信は、本人にとって勇気の源泉なのです。

これらの見えない努力は、たとえすぐに結果に結びつかなくても、内面に蓄積されています。貯金と同じです。そして、それがやがて、表面的な「2割」の成果としてあらわれる。他人からの評価に一喜一憂するのではなく、自分の「見えない8割」を大切にすることで、より強くなることができるのです。

他者への共感を深める視点

この「見えている2割、見えない8割」という考え方は、自分だけでなく、他者との関係を豊かにするためにも役立ちます。誰かの成功や失敗を目の当たりにしたとき、つい表面的な部分だけで判断しがちです。あの人は能力があるから達成したのだ、運がいいから成功した、といった表層的な面だけ決めつけてしまうのです。しかし、その人の背景にある「見えない8割」に思いをはせることで、より深く相手を理解し、共感できるようになります。

まとめ

この「見えているのは2割、見えない部分は8割」という言葉は、表面的な「見えている2割」だけで判断するのではなく、その裏にある、数々の努力や経験という「見えない8割」が隠されていることを見落とさないようにするために覚えておきたい。ものごとには必ず見えない部分がある、という前提で思考するようにしたいです。

——————————-
『経営情報Web Magazsine ファースト・ジャッジ』運営執筆 藤原毅芳(fjコンサルタンツ) from2011