急成長

自動車業界に詳しい方なら、「マレリ」の経営破綻が大きなインパクトだったか、ご存じでしょう。再生を計画しながら2度の破綻。日産系のサプライヤーだったマレリの凋落は、長らく日本の自動車産業を支えてきた「系列(ケイレツ)」という強固な結びつきが、もはや盤石ではないことを見せつているようです。そして今、そのスキを突くかのように、ある外資系企業が日本市場で存在感を高めています。その名は、「マザーサン(Samvardhana Motherson Group)」。直訳の「母と息子」という名前とは裏腹に、世界を舞台に積極的なM&A(買収・合併)を展開する、インドの自動車部品メーカーです。このメーカーが日本でも存在感を出すようになってきたのです。

「マザーサン」とは何者か

マザーサングループは、1975年にインドで創業されました。その名の由来は、文字通り創業者とその「母(Mother)」が「息子(Son)」と共に立ち上げたことから来ています。その歩みは非常にアグレッシブ。ワイヤーハーネス(自動車用組電線)からスタートし、今やミラーシステム、モジュール、プラスチック部品など、自動車に不可欠な多様な部品を手がけるグローバル企業へと成長しています。

日本メーカー買収

マザーサンが日本で注目を浴びたのは、日本の大手部品メーカーを傘下に収めたことでした。

  • 2024年:八千代工業(元ホンダ系。主に燃料タンクやサンルーフ)

を買収してします。八千代工業は、当時上場していましたが、現在は上場廃止となっています。この買収は
・八千代工業の株式を本田技研工業が一旦取得→その後マザーサンへ譲渡
というプロセスを得ています。

「再編」の形が変わる

マザーサンの日本進出は、単なる「外資による買収劇」ではありません。これは、マレリショックを経て「系列」という古いビジネスモデルが終わりを告げ、日本の自動車部品業界が「大再編時代」に突入したと感じさせるできごとです。中国系の企業ではなくインド系企業が日本に進出しているのは製薬業界では聞いたことがありますが、それが広がっているのを感じます。

まとめ

自動車業界は市場が成長してきた経緯があります。しかし、現在は過渡期。部品メーカーの競争も激化しています。部品メーカーは購入してもらう自動車メーカーの数が少ないため、1社から部品供給を断たれると経営が成り立ちません。そのリスクがようやく表面化してきたと感じています。今後の業界の方向も確認したいです。

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