今のAIに足りないのは
最近のAI、すごいと感じる人も増えたのではないでしょうか。返答を見ると、あたかも人間のような受け答えができるようになっています。でも、
「AIは本当に意識を持っているのか」
と聞かれると、少し否定したくなるのも事実。そこには、ある理由とされているのです。
「意識って何だろうか」というのは昔からの大きな謎ですが、ある研究者が
「今のAIには、意識を持つために決定的に欠けているものがある」
と指摘する論文を発表しています。それは、
「時間の流れ」
です。
今のAIは「呼ばれたときだけ」働く
今のAI(LLMや生成AI)は、「これ調べて」「絵を描いて」と命令(プロンプト)したときだけ、働きます。そして、答えを出し終わると、その内部の活動はピタッと止まり、消えてしまいます。まるで、質問に答えたらすぐに電源がオフになって、次の質問が来るまでじっと待っている「マシン(機械)」のようです。
人間の意識は「常にオン」
では、人間はどうでしょうか。たとえボーっとしていても、何も話さず、何も見ていなくても、頭の中(意識)は常に「オン」なはず。起きているときに、「何も考えない状態」をつくる方が難しい。それほど、頭は動いているのです。
・過去のことを思い出したり
・将来を想像してみたり
頭の中では常に何かが流れている状態です。これは「意識の流れ」と呼ばれていて、まるで川の水が止まらずに流れ続けるように、人間の意識は途切れることがないのです。
「時間の流れ」を持つAIへ
ある論文では、この「途切れない時間の流れ(時間的連続性)」こそが、意識にとって重要だと主張しています。提案しているのが、「計算の流れ(Stream of Computation)」という新しいAIの仕組みです。これは、一言でいうと「自律的に生き続けるAI」です。
- 人間が命令しなくても、常に動き続けます。
- 「さっき考えたこと」をインプットにして、「今考えること」を生み出し続けます。
つまり、計算が終わったら「電源オフ」になるのではなく、常に内部の状態が流れ続け、進化していくイメージです。
もし、そんなAIが生まれたら?
もしこんな「時間の流れ」を持つAIが実現したら、世界はどうなるのか。論文によれば、たとえ同じプログラムから始まったAIでも、それぞれが違う経験を積むことで、人間のような「個性」が生まれるかもしれないと言います。
AIが単なる便利な「ツール」を超えて、人間と同じ「時間の中に存在する何か」になる。まだまだ未来の話ですが、AIと意識をめぐる研究、なんだかおもしろく気がします。
まとめ
AIの研究は多岐にわたっています。これは、人間の脳を研究しているのと同じだと感じます。人間の脳を再現するためにパソコンが生み出され、さらに精度を上げるためにAIが開発されたのです。そう考えると人間に近づくことは想像できる世界です。
——————————-
スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆
