DMUを理解する
DMU(購買意思決定ユニット)という概念があります。BtoB営業の成否を分けるともいわれれているので取り上げてみます。個人的には、営業時代にBtoCからスタートし、その後BtoBも経験しました。法人のお客様の場合、提案クロージングする相手が経営者になるので、最初は戸惑ったものです。
では、BtoBビジネス(法人-to-法人)を展開するとき、こんな経験をしたことはありませんか。
- 商談が順調に進んでいたはずなのに、最終決裁者の一声で白紙に戻ってしまった(撤回)
- 現場担当者は乗り気なのに、上層部からなぜか良い返事がもらえない
- キーマンがわからず、だれにアプローチすべきか迷ってしまう
これらの問題の背景には、DMU(購買意思決定ユニット:Decision Making Unit)の存在があります。DMUとは、法人顧客の購買意思決定に関わる、あらゆる人々の集合体のこと。いわゆる決定権の階層です。BtoB取引では、1人の担当者がすべてを決めることはほとんどなく、複数の部署や役職者が関与します。今回は、DMUを理解することがなぜ重要なのか、そしてDMUをどのように理解すべきかを解説します。
DMUとは
DMUは、おもに以下の5つの役割で考えていきます。顧客の中にそれぞれの役割を持つ人々がいるのです。必ずしも1人が1つの役割を担うわけではなく、複数の役割を兼任することもあります。1つの役割を複数の人が担うこともあるのです。
- ユーザー(使用者)
実際に製品やサービスを利用する人。現場の方です。機能性や利便性など、実務的な観点を重視します - インフルエンサー(影響者)
専門的な知識や経験から意思決定プロセスに影響を与える人のこと。社内で頼りにされています。その方の意見は影響を与えます - バイヤー(購買者)
予算や費用対効果を精査し、ベンダーとの交渉も担当する、購買の責任者。予算に対して厳しく判断する方です - デサイダー(決定者)
購入の最終的な決裁権限を持つ人。経営層や部門責任者が該当することが多い。定期的に開催される会議で決定しています - ゲートキーパー(情報管理者)
情報の流れをコントロールし、特定の人物へのアクセスを制限する人。情報の収集や選別を行っています
DMUはなぜ重要なの
DMUを正しく理解すると、BtoB営業の成約率が上がります。商談がスムーズになります。その理由は以下の通り。
- 複雑な購買プロセスを把握できる
顧客企業内でどのように意思決定が進むかを明確にできるため、商談の進捗を正確に予測し、戦略的な営業活動を展開できる - 多角的なアプローチが可能になる
BtoB取引の意思決定には、現場、上司、経営層、経理担当など、さまざまな部署が関わります。DMUを把握することで、それぞれの役割と関心事に合わせた最適なアプローチが可能 - チーム内で共通認識を持てる
DMUマップを作成して共有すれば、顧客の組織構造と意思決定プロセスについてチーム全員が共通の理解を持てます。これにより、効率的で一貫性のある営業活動が可能になり再現性が高まります
まとめ
BtoB営業において、DMUを理解することは単なるテクニックではなく、戦略の根幹だと考えてください。DMUを把握し、顧客のメンバーそれぞれの思惑を理解することで、成約率を向上させることが可能です。時間はかかるかもしれませんが、欠かせないポイントです。
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