VUCAの時代と言われ続け

VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)の時代、未来の予測はますます困難と言われるようになりました。ただ、ここ数十年の歴史を振り返ると、いつの時代も不確実性の時代だという言葉は必ず出てきます。それほど安定した時代が続くことはない。

そのため「きっとこうなるだろう」という単一の予測に頼ることは、大きなリスクと考えています。視野が狭い予測を行っていると、自分の予想外のことが発生してしまうのです。そこで、知っておきたいのが、シナリオ・プランニングのツール、「不確実性の軸(The Axes of Uncertainty)」です。これは、単なる予測ではなく、複数の「あり得る」未来に備えるためのフレームワークです。

なぜ「不確実性の軸」が必要か

よくあることなのですが、無意識のうちに自分たちに都合の良い未来を想像してしまい、そこで終了してしまう。想像できる範囲でしかシナリオを描けないのです。しかし、将来、ビジネス環境に最も大きな影響を与えるのは、コントロールが及ばない外部要因です。しかも想像できない場合があり、それが発生すると対応が遅れてしまうのです。

予想外のことが起きてしまったということは、できるだけ避けたい事象です。そのために全ての未来のシナリオを描いておきたいのです。不確実性の軸の目的は、この「予測困難な外部要因」を意図的にピックアップし、それらがもたらす最も極端で異なる4つの未来を構造的に描き出すこと。一つの方法として知っておきましょう。

「軸」を見つけ出す

不確実性の軸は、以下のステップで構築していきます。

①:外部要因

まず、自社のコントロール外にある「未来を変えうる要因」を幅広く洗い出します。例えば、新しい技術が出てきたり、規制が入ったり、海外の地政学の影響が出てきたり、消費者の意識が急に変化したり、経済の成長率の大幅な変化が訪れる時期が来たりすることです。また、自分たちの業界に新規参入者が急激に増えることも、外部要因としては大きなポイントとなるでしょう。次に、それらの要因を「重要度(インパクトの大きさ)」と「不確実性(予測の難しさ)」という2つの視点から評価します。

  • 「重要度(インパクトの大きさ)」
  • 「不確実性(予測の難しさ)」

②:不確実性の選定

評価の結果、「最も重要度が高く、かつ、最も不確実性が高い」と判断された2つの要因を特定します。これらがあなたのシナリオを決定づける項目です。選定した2つの軸を縦軸と横軸に設定すると、必然的に4つの四象限が生まれます。この4つの四象限それぞれが、組織が直面し得る代替的な未来のシナリオとなります。

重要度不確実性
1HighHigh
2HighLow
3LowHigh
4LowLow

まとめ

このように未来を描くときは丁寧にパターンを作っていくことです。そんなことは起こらないだろうと勝手に思わずに、冷静にシナリオのパターンを描いていくと、新たな気づきが出てくることでしょう。不確実なことは、今後も発生し続けますし、安定することがないという意識であれば、将来のシナリオを描くことが日常になっていくはずです。

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