プロセス

「新製品の開発には熱心だが、製造現場の工程改善は現場任せになっていないか」

企業の競争力を診断する際、よくこの問いを投げかけます。 多くの企業は「何を作るか(Product)」には莫大な投資をしますが、「どう作るか(Process)」のプロセステクノロジーへの投資は見落とされがち。しかし、製品ライフサイクルが成熟し、機能での差別化が難しくなった時、企業の利益率を決定づけるのは間違いなくこの「プロセステクノロジー」です。キーエンスというトップ企業がありますが、工場を持たないファブレス企業でありながら、製造の方法についてはノウハウを持っており、製造の委託時も製造プロセスまで指示を出しているようです。そうでなければ、あの高収益、利益率を維持できないでしょう。それほど重要な部分だと感じます。

今回は、プロセステクノロジーについて解説します。

プロセス分解

「プロセステクノロジー」と聞くと、最新のテクノロジーのように感じますが、原則はシンプルです。次の3段階があります。

  • 分解
  • 可視化
  • 仕組み化

分解・可視化・仕組み化の3つだけなのです。特に最初の分解が重要です。どの分野においても高いスキルを持った方がいらっしゃいます。その方しかできないような仕事のことを、暗黙知と呼んでいます。この暗黙知を分解できるかにかかっているのです。暗黙知の中を分解して可視化できるようになると、本当の暗黙知は2割ぐらいと言われています。8割は仕組み化できるのです。

「職人のカン」から「形式知」へ

かつて、日本の製造業の強みであるプロセステクノロジーの中核は、熟練工の「カン・コツ」という暗黙知でした。 これがプロセステクノロジーによって可視化され、仕組み化されています。単に数値化された世界へと移行しているのです。経験と勘で判断していたものを数値に置き換える作業がプロセステクノロジー。これは製造業の分野だけでなく、営業の分野など他でも似たようなことが発生しています

まとめ

これからの経営はブラックボックスを無くしていくプロセスになります。見えてなかったところが可視化されていくプロセスです。最初はスタッフの抵抗になるかもしれませんが、陰で頑張っている人ほど努力が評価される仕組みなので浸透していくでしょう。このように考えると、評価というものも、完全なものが存在していませんが、徐々に正しい評価へと収束している動きが理解できると思います。

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スキマ時間に読めるビジネスリーダーのための『経営情報Web Magazine ファースト・ジャッジ』fjコンサルタンツ 藤原毅芳 運営 執筆